単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

北窓開き君と伸びする 今年の「提供」まとめ

これは2021年アドベントカレンダー「提供」第21日目の記事です。

前回は人に合わせて振る舞いを調整することで、互いにハッピー、という話をしました。

今日が最終日です。メリークリスマス! でした! 最後までお付き合いありがとうございます。

アドベントカレンダーは4年目になりました。毎年TLで騒いでいるため、スタートすると「もうそんな時期か」と思ってもらえたり、「私もやってみたい」と思ってもらえたりするのが、嬉しいです*1。読んでくださってありがとうございます。あなたがくださるリンククリック数やいいねやマシュマロがどれだけ私を喜ばせていることか*2*3。とっても嬉しいことです。ありがとうございます。

さて、最終日です! 今年のアドベントカレンダー記事を振り返りましょう。テーマ「提供」でした*4

アドベントかれんく巻き納め

その前に、タイトルの一人連句のまとめ。今日のタイトル句は冬を越えた春です。季語は「北窓開く」*5。これは本丸かもしれないし、新居かもしれない。できるだけ明るい未来を自ら歩いて行けますように、一人ではなく誰かの隣で。
六句巻いた。六句一花一月、構成表は季節を続けられず無茶苦茶ですが*6、月と花を優先した。気をつけたこと:語尾が同じ調子にならないように、景色が被らないように、そしてアドベントカレンダーの本文と何かしらリンクするように*7

発句  冬   クチナシの焦げた葉にやる冬の水
脇   雑    ピザの耳からチーズとけだす
三  秋の月  月影よ差せよ血潮の浅きまで
四   雑    港灯籠見に遠回り
五  春の花  花はらり神も宴に笑ふにや
挙句  春    北窓開き君と伸びする

アドベントカレンダーを読み返して

ざっと読み返してきた雑感。今年は特に、自分で書いた他媒体記事へのリンクが多かった。Twitter、noteその1、noteその2、自サイト……あちこちに書いてきたんだな。アドベントカレンダーというものは、一年のうちに各所に積み上がった「私」を回収して一箇所に集めて、見落とされてきた新しい一つの像を結ぼうとする試みなのかもしれない。メゾン大集合。メゾン大演練。私たちは6人で1人*8(というか、1人である)。

前回アドベントカレンダーのまとめでは、トピックごとに記事をまとめたけれど、今回は変えてみる。生活・労働・創作と多岐に渡るトピックを、トピック横断で、「提供」の過程に沿って並べてみる。

1.提供するものの下準備

人生をやる

人生の妙さを買われた話 いびつだから、尖って、刺さる 

人生と女性性

月経不順は労働にやさしいか PCOSもちと労働力の話

女性性の難と挙児希望*9 月影よ差せよ血潮の浅きまで 女性性の提供

2.提供物を作る

書くことの研鑽

(個人的に)書くことが(労働で)書くことに活きる話 労働と提供

作文屋として強くなりてえ ピザの耳からチーズとけだす(作文の研鑽の話)

書くこと

どこに行っても何者になっても、 書けなくなることだけが怖かった

挙児希望に関して詠む歌のこと 心をなぐさむるは歌なり ①妊活短歌というジャンル

つらさを言葉にするのをやめない(妊活短歌と二次創作小説) 心をなぐさむるは歌なり ②つらさから歌を錬成する

書いたもの・作成したもの

note記事まとめ*10*11*12 note記事から見る「提供」

月経関連のつらさに対処するツールの作成 黄体ホルモン補充薬の副作用がつらかったので、月経随伴症状調査フォームを作った話

3.提供のしかた

城を作りました 自サイト築城と、創作の伝播の話

接客されての気づき 港灯籠見に遠回り 良かった接客の話

人に合わせて提供の演出を変える 花はらり神も宴に笑ふにや 提供と演出の話

4.提供物を受け取ってくれる人のこと

知らない人の中に、私の文章が残ること いろいろな人に向けて書くこと

ありがとう読んで/書いてくれて*13 こうかんのこうかん 差し入れの話

作品と作者の愛し方について こうかんのこうかん 作品と作者

私の歌を読める人の話 心をなぐさむるは歌なり ③歌の宛先

5.アラカルト

かわいい日記帳を見てくれ 日記を見直す──私のかわいい日記帳の話

同じ生命と何年も暮らす クチナシの焦げた葉にやる冬の水

2021年の「提供」総括

今年はたくさん提供してきました。提供できるものを増やし、磨いて。提供のルートを検討して。提供の仕方も、場所や相手に合わせて、考えて。特に自分自身が欲しくて作るものは、何よりもまず、自分が満足するようにこだわって*14

「提供」のわけ

今年「提供」をやろうと思ったのは、昨年が、心身ともにかなり健康だったからだろうと思う。そろそろ私も渡す側に回れるな、回らなければならないな、少し力を自分の外に振り分ける番だな、と思った。これは理屈ではなくて……なんでしょうね*15。それまでの数年間、自分の内側を観察して、理解を深めてきた。自分の好きなこと、できること、得意なことについて思いを巡らした末、もう外に出ないといけない、出られるはず、と思った。自信がついたということかもしれない。挑戦しなければ、というわくわくどきどきした気持ちでもあった。確かに「提供」には「犠牲」のニュアンスがある場合もあるのだけれど(ない場合もある)、その犠牲を払うときだとも思った。まあ、挙児希望については、多少身を削らなければならないのは明らかであったし。二次創作作文においても、「読んでくれる人がいる」とわかってきたから、その人たちのことを(顔を知らなくても)考えて何かしたいと、ごく自然にそう思った(私はごく自然だと思った)。

こうして外に出てこられるようになったのは、これまで私に関わってくださった人たちのおかげである。私の書いたものを喜んで、声をかけてくださった人たち、あなたたちのおかげ。他に書いたものがまたあなたの役に立ったり、喜んでいただけたりしたら無上の喜びだし、そうでなくたって、一度の邂逅をただ嬉しく、ありがたく思う。本来繋がるはずのない人と、書いたものを通じてご縁ができたのならば、それは幸せなことだと思うから。

来年の目標

アドベントカレンダーを書きながら来年の目標を考えるのが常なのですが、来年の目標、思い浮かばん。2月以降の暮らしのイメージが全然ついていない。「生存」*16、あるいは「1割減量」*17とかしか思いつかない。うわーん。

提供は続けたい。けれど、まずは自分の暮らしを整えつつ、心身の健康を守るのが第一である。かといって、自分のことだけをまた掲げるのも、今となってはみみっちく思えて嫌なんだよなあ……。なんとか、「生存」と「提供」を両立する言葉を見つけられたらいいのだが。今年があと5日間しかないが、まあ、未来の私が何とかするだろう。

御礼

今年のアドベントカレンダーはこれでおしまいです! 約1ヶ月間、お付き合いをいただいて、ありがとうございました。ご一緒してくださったことが、とっても励みになりました。多くの示唆もいただくことができ、私の考えも深めることができました。ひとりアドベントカレンダーはいつの間にか「ひとり」ではなくなっていたのだな。ありがとうございます。

読んだよとか、気に入った記事とか、お気軽にお寄せくださいませ。Thanks in advance! いただいているマシュマロのお返事はもう少しお待ち下さい……食べてます……

それでは良いお年を!

marshmallow-qa.com

*1:私のアドベントカレンダーとりいさんの2017年アドベントカレンダー「虚無とたたかう」がとても良いなと思い、2018年アドベントカレンダー「人間をケアする」を始めたのがきっかけでした。これもまた創作の伝播

*2:私はよく「数字では喜べない」みたいなことを言っていました。しかし、ここ最近は、数字にも喜ぶようになってきました。数字の奥に生きた人間がいることがわかってきたんだと思います。イベントで私に声をかけてくださる、面識のない方々のおかげです。あなたの振る舞いのおかげで私は進化した。

*3:「数字では喜べない」発言の例:『他者にいくら広まっても、その数字を見るだけでは、喜びの気持ちがわきません。数字では実感が湧かないというか、数字には喜びを見出せないようです。ありがたいことだなとは思いますが。』(私にとってのケアと喜び その2 - 単品と単品, 2018年)、『あの数字を、一つずつが一人の人間だと思うことは容易ではない』(愛に振り回されるな、愛を(やさしく)振り回せ──一人でスイカを割る二次創作小説書きの虚空ダンス - 単品と単品, 2020年)

*4:今年は連日、1日目の記事にリンクを貼っていったので、追うのが楽だ。えらい。

*5:秘密連句で使っている人がいて、かっこいい……! と思っていた季語。

*6:本来、秋と春は3句、冬(と夏)は2句続ける。

*7:アクロバティックな姿勢になりながら巻いてるな、と思った。「アドベントカレンダーのタイトルを連句にしようとする女」って彫刻になれそうだった。類:ゆあれ💐 on Twitter: "風呂場の換気扇のフィルター掃除にあたり、たいへんにアクロバティックな姿勢を強いられ、何事も筋肉……となった 「風呂場の換気扇のフィルターを掃除する女」って彫刻の連作になれそう"

*8:6winkだ(ワキザシックスみたいなこと言う(脇差ックス (わきざしっくす)とは【ピクシブ百科事典】))

*9:ゆあれ『これは冬嶋女史ブチギレNo1記事オブ2021アドベントカレンダー』。

*10:私のnote記事は、役に立つものか、楽しく暴れている様子の記録が多い。noteの書き手格u_u_c(通称ゆゆし)は桜間大家に「メゾンのクリスタルガイザー」と称されているが、おそらく、u_u_cはクリスタルガイザーにならざるを得ないのだ、と、この間読んだ下記の記事で思った。

で、自分が思う、はてな村の人たちが見ていた『集団幻覚』というのは、『文章を書くことによって、アイデンティティの確立ができて、そして、そのアイデンティティはその書き出した文章に宿る』というものだったのだと思う。自分は、今も、その幻覚を見ているし、人が書いた文章はその人自身だと思っているのだけれども、どうも世の中そうではないみたいだし、うまくはてな村を『上がった』人間は、文章をただの自分を表現するための道具だと思ってるように見える。noteで文章を書いて稼ぐ、という行為は、それがうまくいけばいくほど、自分語りから遠くなっていくだろう。

ここにはてな村を建てよう。 - orangestarの雑記 (筆者は『となりの801ちゃん』の人)

そこから私が考えたこと:noteは回遊性が高く、スキやシェアを推奨するインターフェイスである。課金要素もある。note運営は『誰もが安心して創作を楽しんで続けられるメディアプラットフォーム』と言うが、おそらく、「『創作を続けるモチベーション』は、誰かに見てもらう、好きになってもらうという外的要因から供給される」という設計思想なのだ。noteで書く限り、人気になりたいと思うのは当然なのだろう。そのためには、誰にも見向きもされない無名の「私」語りをするよりも、大衆にウケるものを書く方がよっぽどよいのだ。その結果、記事からは「私」性が失われ、透明になる。かくしてメゾンのクリスタルガイザーは今日もクリアな微笑みを浮かべている。

*11:それでも私たちはゆゆちゃんのことが好きだし、彼女もまた、私たちの大切な一部であるのだ(書き手格擬人化発言)。彼女の(というか、まさにnoteの)おかげで、「文章を通じて知らない人の役に立つ」という私たちの願いが果たされている部分は大きいのだから。

*12:しかし、pixivしかり、Twitterしかり、noteしかり、数値化された好意、愛、人気、といったものにある種の疲れを蓄積させた私たちは、10年近く眠っていた書き手格桜間傘を復活させて擁し、私たちだけのメゾンを建立するに至った。読み手のことを考えながらも考えなくてよいのは非常に楽である。つまり、基本、「知っている人しか来ない」(であろう:メゾンに入れるのは基本Twitterで繋がっている人のみのため。でありつつ、相互フォローの割合からして、「一方的に知られている」というのもそれなりにあるであろう、多分)場所というのが気楽でよいのだろう。私は知らない人の役に立てたら嬉しいが(それが、小説を喜んでもらうことであっても、お役立ち記事を活用してもらうことであっても)、多くの知らない人たちに愛されたいと思っているわけじゃない。もともと、狭く深い愛の方が心地よい(というか、それ以外はほぼ見向きもしない)たちなのだ。そう思うと、やはり昨今の、何もかも数値として可視化してくるインターネットの潮流は向いていないのだろう。私は、愛されるならば、私をべったり愛してほしいのだが(そして私もがっつり返したい)、それを……それを……数字で私を測るんじゃねえ! 私を見ろ私を!(暴動) いけない、ゆあれみたいになっちゃった。たとえば、イベントに出れば頒布数は数として残るものの、生きた人間との交流があり、それがもたらす幸福感は何物にも代えがたい。結局、やはり、最終的には、会う他ない。断固。いや、「私という人間を愛せよ」みたいな話を長く書いてしまったが、もちろんそんなふうに関わらなくたっていいのだ、私の文章を文章として役立ててくださればそれで十分満足なのだ。これも本当なの。信じてほしい。必死。だめだな、友達とあまり会わない暮らしをしていると、心のどこかが水漏れのように乾き続けて、こうしてインターネットに欲求を叩きつけることになってしまう……。

*13:タイトルは「好感の交換」、そして「交歓」、をうまく引っ掛けたかったが、こうなった。

*14:本とかね。

*15:私は理屈より感情で動きがちである。ごまかしているわけではないし、ごまかしたいわけでもない。言語化を怠っている・言語化能力が追いつかないというのでも(たぶん)ない。この、提供への意欲は言葉の外にある。それを言葉にするのが作文屋のつとめなのではないかという向きもあるかもしれないが、私はそうは思わない。強いて言うなら、これは今の私の限界である。

*16:新生活に怯え過ぎであろうと我ながら思うよ! しかし、引越し先、行ったことがない都道府県なのだ(珍しい)。私は元来怖がりというか、慎重派であるので、怯えるのも仕方がない。と主張しておく。

*17:切実に達成したいし、無理な目標でもない。しかし、これを掲げることに全然ときめかないのが難点である。