これは2021年アドベントカレンダー「提供」第4日目の記事です。
昨日は、後輩さんたちとの交流と、学会本の話をしました。妙な人生を送ることで、選択肢の一つとして生き見本になることができる。自分の人生を肯定するその勢いで、創作をすることもある。
今日は挙児希望の関連の話をしよう*1、と思ってPCの前に座ったんですけど。寝起きで朦朧としていて、まだ日の昇らない東の空には淡いオレンジの帯があるだけで、薄寒くて、……ああ、小説が書きたい、とぼんやり思う。寝起きで朦朧としながら小説を書くの、楽しかったんだなあ*2。
しかし創作の話は、アドベントカレンダーの、もっと後にするのだ。
そんで、今日は土曜日なので、サラッと終わることにする。
挙児希望の話、苦手な人はブラウザバックです*3! 苦手な人もいるだろうって思うのにこの話をしちゃうの、ごめんなさいね。これは今年の私の大きな「提供」トピックスで、外せない。ちなみに妊娠はまだしてない*4*5。
PCOSもちと労働力の話
労働力と「提供」の話。
子供がほしいと思った時、私は病院に通わなければならない。「妊娠に医学的介入が必要であること」は「不妊」の定義にヒットする*6ので、いわゆる1年間もかけなくても、私(たち?)は不妊状態なのであった。
私にはPCOSがあって、生理は思い出したようにしか来ないし*7、排卵もろくろくしない*8。
投薬を受けて、排卵を起こし、生理を起こすわけなんだけれど、薬剤の影響と生理そのものの影響で非常に具合がよろしくなかった。非公開ブログの掲載文を転載する。念のため薬剤名は伏せる。わかる人にはわかっちゃうと思うけど。
【黄体ホルモン補充薬】を(中略)処方されている。(中略)これが、めっちゃ、お腹が張る。これまでは、「お腹が張る、集中できない、イライラする、ああこれは生理前か……?」と思うと3,4日で生理が来たように思う。けれど、【黄体ホルモン補充薬】は2週間内服である。飲んでいるうちは生理が来ない(飲み終わって3~7日くらいで生理が来るらしい)。とすると、この腹部膨満感、頭痛、吐き気、憂鬱な気持ち、怒りやすさ、集中力の低下、云々、は半月続くのである*9。
しんどい。
なんなら生理が来てほしい。こんなお腹が張った状態が数ヶ月続くのか、妊娠。大丈夫か。
大変だった。4週間中3週間も具合悪いのである*10。労働に悪影響である。
初めての黄体ホルモン補充期間中、10分と集中力が保たない上、メンタルもよれよれで、「働けない……働けない私に価値がない……どうして自覚的にはなんともない『不調』を治すために飲む薬で自覚的に不調にならないといけないのか……私の身体がおかしいせいか……そうだな私が悪い……どうしようもないが……」とドンヨリしていた*11。ドンヨリとかいう言葉ではどうにもならないくらいの落ち込み加減だった。
それで何もしない私ではない*12。私はままならない不調とそれにより阻害される生活を何とかするため、いくつかの手段を取った。「医師にしんどさを訴えて処方を変えてもらう」とか「直属の上司に事情を説明する」とか「人は高温期の不調(あるいはPMS)をどう攻略しているのか文献を探す」とか「自分で月経随伴症状調査のフォームを作って量的に記録を行う」とかした。結局、黄体ホルモン補充薬を2回3回と繰り返し使ううちに、身体が慣れたのか調子はそれほど落ちなくなったし、そもそも今はその薬使わずにいてもらっている。
でもさ。
PCOSがあるおかげで、生理が来なくて、それに伴う不調もなくて、だからここまで働いてこられたんだなあ、と思うわけ。私は「病んで」いるのかもしれないけど*13、だからこそ、調子の波が小さい。
労働力の提供。
その点からすると、悪くなかったんだろう。そして、「治療」して「不調を得」た時、怖くなる。『具合の悪い私を、「それがあなたの実力だ」と思われたくない』*14。
再び、非公開ブログから引用。
そして思ったこと。
- これまでのように、安定してパワフルに働く、ということを、諦める
- それが「間違った」「劣った」「仮の」姿だ、とは思わないようにする(それが実力である)
- へろへろしていても、存在していてよい
- へろへろしていても、やるべきことをできるようにという目を向ける
- 新しい形態の身体と、私で、やっていく
とりあえず、月経随伴症状の記録がしたい。アプリ探すかー。→探したがピンと来ない……。既存尺度の調査に移る。
心身の元気には限りがあり、その中でなんとかやっていく他はない。できることを。提供可能な価値の提供を。
一応「提供」の話に落ち着いた……か?
お付き合いありがとうございました。次回もこういう話をするかもしれないし、飽きたら別の話をします。
激励、疑問、聞きたい話などお気軽にどうぞ。
*1:挙児希望、って一般的な用語ではないかもしれない? 最近は「妊活」が人口に膾炙しているだろうか。私、この言葉、あんまり好きじゃないんだけど。あと、「不妊治療」も好きじゃない。「不妊」、一生子供できんみたいに言われている気持ちになるというか。いやそういう意味じゃないのわかってるんだけど……。
*2:魔法学会の話とかアイ庭とかの長い話は、朝早めに起きて、少しずつ書いていた。電車通勤をしていた頃は、電車で書けたんだけど……。アドベントカレンダーもそうね。
*3:今は「タブを閉じる」とか「アプリを閉じる」とか言ったらいいんだろうか?
*4:してたら、短歌集を出してない……かもしれない。いや、うーん、私は出したかもしれないな。記録のために。
*5:「まだ」って書くの、怖いなあ。一生できないかもしれないのにね。この、いつ終わるのかわからないが続ける、というのが、かなりしんどい感じがある。
*6:「不妊症とは、夫婦が妊娠を希望し1年以上性生活を行っているにもかかわらず妊娠しない場合をいう.なお、妊娠のために医学的な介入が必要な場合は期間を問わない.」医療情報科学研究所 編集『病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科』第4版 p230(メディックメディア, 2018).
*7:年に3~4回くらい。
*8:AMHが10を超えている。
*9:これらの症状が、【黄体ホルモン補充薬】の副作用なのか、黄体ホルモンが補充されて起こる普通の反応なのか、妊娠超初期反応なのか、それもわからない。
*10:短歌集がお手元にある方にしか伝わらない話で恐縮だが、それで「飲めば病み」や「二週間」の歌ができた。
*11:つらかった話なのであれそれと書き立ててしまうけれど、黄体ホルモンを補充してもなんともない人だっているはずである。これから使う人、怖がらせたらごめんなさい。
*12:労働ができないのも困るし、まず、心身が健康でなければ作文ができない
*13:ここが「かもしれない」であることが、私の抵抗、という感じもある。あるいは、他にPCOSを持つ人(なんせ有病率5-10%とかいうメジャーな症候群)が、「病んでいる」と言われたら嫌だろうなあ、という気持ちもある。っていうか、私は嫌だ。
*14:これは文献調査で見つけた、調査参加者の言葉だったが、しっくり来たので覚えていた。元論文は忘れてしまった、すみません。