単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

心をなぐさむるは歌なり ①妊活短歌というジャンル

これは2021年アドベントカレンダー「提供」第6日目の記事です。

昨日は、月経随伴症状調査フォームを作った話をしました*1

今日も挙児希望関連の話が続きます。しんどい時に詠む短歌の話。

妊活短歌というジャンル

「妊活短歌」っていうジャンル、絶対あるでしょと思ったが、あまり見当たらない。全くないというわけではない。けれど、「界隈」ってほどの広がりは見られないように思える。私の探し方が不適切なのかもしれないが。

Google検索の結果は私の記事(のとみのnote)が一番上に出てくる。Twitterだと最後にツイートされたのが2020年12月*2

「妊活川柳」の方がヒットが多い。数年前にはコンテストまで開かれている*3

ただ、私には、挙児希望を抱えて通院する中で生じるしんどさを(あるいはポジティブな気持ちも)、歌にすることが必要だった。パイオニアを気取れるほどの歴は、挙児希望のための治療にも、短歌にもないけど、歌を作った。「妊活短歌」とラベリングして、外に出す──専用のnoteを作ったり、本にして頒布したりする──ことにした。
一人で詠んでいたってよかったんだけど、外に出したのは、似たような思いをしている人の役に立つかもしれないという気持ちと、「いい加減、誰かが見てくれる(かもしれない)ところに置いておかないと、気がすまない」になってきたから、だったと思う。確か。

挙児希望関連でつらいことがあった時、それを人に話しづらい。だけど、一人で抱えていることもできない*4

それで、短歌にした。

つらさを言葉にすることについて

話がいったん逸れる。

川野芽生さんという歌人がいる*5歌集『Lilith』のひと、と言うと、ゆあれのTwitterフォロワーさんはわかる人もいらっしゃるかと思う。

かつて川野さんの短歌を読んで、当時抱えていたつらさが和らいだことがあった*6。それで、つらいことをうまく言葉にして残しておくのは、後々役に立つかも、っていう意識があったのかもしれない*7

 

と、ここまで書いて、だいぶ時間が経ってしまったので、いったん終わる。明日はこの続きができればと思います。

 

なにかあればこちらで!

*1:これはまあ、私から私への「提供」、ということになるだろうか。あとは以前友人と話している時に、生理がつらいというような話になって、このフォームの話題提供をしたこともあった。役に立てるのは嬉しい。

*2:その後妊娠できたのだといいなと思うが、単に飽きたのかもしれない。

*3:どうでもいいが、妊活と妊娠と出産を一つのコンテスト内で扱ってはいかんじゃろ、と思う。妊活中の人はよその妊婦や経産婦にダメージを受ける場合がある(私は今のところそれほどでもないので、当該の知人には安心してほしい)。不妊治療クリニックの中には「妊活中の人向けの施設なので、子連れはご遠慮ください」などとしているところもある。産科併設の婦人科で治療している人が、待合室に交ざる妊婦さんたちに対して様々な感情を持つ話もしばしばネットの海で見かける。

*4:『お前の配偶者は何をしているんだ』という向きもあるかもしれない。私がつらいとき、私はだいたい動転しており、つらいことを不必要に強調して言い立ててしまいがちになる。我が伴侶にそのようなことをすると、「とにかくなんとかしなければ」みたいなスイッチが入り、私に良かれと妊活の中断を提案されると予想される。でも、私が求めているのはそういうことではなく、つらさへの寄り添いであるため、妊活の中断を提案される展開は不毛である。しかも、誰もハッピーではない。それで避けている。とはいえ、「本当に無理、中断を要求する」という時にはそのように訴えて実際に中断したこともあるので、安心されたい。

*5:Twitterのホームに風船が飛んでる。お誕生日おめでとうございます。

*6:さからはぬもののみ佳しと聞きゐたり季節は樹々を塗り籠めに来し『Lilith』p123. とか、強ひられて嫁したるごとし 女〈をみな〉としてこの世へいたる閾〈しきみ〉越えにしとか。結婚の前だか直後だか、そういうタイミングで読んだのだと思う。

*7:私が「私怨作文」と呼んでいる二次創作小説も、たぶん同様の営みの一環なんだろう、と今朝思った。