これは「人間をケアする」アドベントカレンダー第12日目の記事です。
前回は、占い屋さんは話を聞いてくれるので良い、という話をしました。
今回はもう少し、話を聞くことについて書きます。
傾聴の技術
傾聴とは?
「傾聴(けいちょう)」、聞いたことはありますか? ざっくり言うと、相手の話をよく聞く技術の一つです。では、ただ話を聞くことと傾聴は、どう違うのでしょうか?
傾聴に大事なのは3つの要素です:*1
- 相手の話に共感する
- 相手の話の善悪や好き嫌いを判断しない
- 相手の話を理解するように努める(わかったふりをしない)
「傾聴」で検索すると、ウェブページが複数ヒットします。書いてあることは様々ですが、受容的態度で聞くということは共通しています。
どのように傾聴するのか?
傾聴の具体的なやり方はこんな感じです:
- 相手の目を見て、頷きながら聞く
- 相手の言葉を繰り返す*2
- わからない部分について質問する
- 批判、助言、自分の話をしない
ざっくりした書き方ですが、「聞いているよ」という姿勢や、「あなたをわかりたいよ」という気持ちを相手に伝えることが大切です。
傾聴がもたらすもの
傾聴の望ましい効果
さて、そうすると何が起こるのでしょうか?
傾聴にはこんな効果があると言われています:*3
- 話し手の考えを理解する
- 話し手との信頼関係を築く
- 話し手自身が自分の考えを整理する
自分の話をよく聞いてくれる人がいたら、その人のことを信頼したり、好きになったりすることがあります。自分の話を聞いてもらえることは嬉しいことなのです。それで相手が自分を理解してくれたらもっと嬉しいことです。*4
それに、自分ひとりで考え事をしていても気がつけないことも、誰かに話すことで考えが整理され、ひとりではたどり着けなかったところまで考えが及ぶこともあります。
傾聴の良くない効果
傾聴をすると良いことばかり起きるように聞こえますが、本当にそうでしょうか?
傾聴のデメリットとして以下が考えられます:
- 話し手が聞き手に依存する
- 聞き手が話し手の感情に巻き込まれる
- 効果を得るまでに長い時間がかかる
もちろん、話し手と聞き手には向き不向きがあります。自分の話を聞いてもらえて、すごく嬉しい人と、そうでもない人がいます。
また、傾聴を始めるまでに、基本的な信頼関係を築いておく必要があり、無理に話を聞こうとすると信頼を得ることはより難しくなるでしょう。
得られる効果と実情を考え合わせて、傾聴を行うのがよいでしょう。
傾聴はどこで使われるのか
傾聴は、うまく使えば話し手と聞き手の双方によい影響を及ぼしてくれることがわかりました。
もともとはカウンセリングの分野で使われ、その後、医療やビジネスなどの分野に広まっているようです。
今回はこのあたりで終わりにします。次回、傾聴についてもう少し書きます。
*1:厚生労働省, 「こころの耳 傾聴とは」, 話を「聴く」~積極的傾聴とは~ 傾聴とは|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト, 2018年12月12日アクセス。「こころの耳」は厚生労働省による、働く人のメンタルケアの情報提供サイト。デザインも内容もよく練られていて見やすい。働く人のためのうつの自己チェックリストもある。
*2:これについては以前、看護師で物書きの木村映里さんが記事にしていました。当該記事を見つけられなかったのですが、接客業を通じて多くの人に傾聴を試すという内容だったと思います。オウム返しを使うと「何で同じこと言うの」と笑ったり、「ふざけているのか」と怒ったりする人もいる、という報告がありました。
*3:Lightworks BLOG, 「傾聴とは ビジネスに役立つコミュニケーションスキルのポイントをご紹介」, https://lightworks-blog.com/attentive-hearing, 2018年12月12日アクセス このページを参考に。
*4:理解は誤解のバリエーションでしかありませんが、「わかってもらえた」という気持ちは喜ばしいものです。不思議ですね。