これは「人間をケアする」アドベントカレンダー第13日目の記事です。
このアドベントカレンダーは25日までの予定です。ついに後半戦に入りました。アドベントカレンダーを始める前はネタ切れを心配していましたが、書きたいことが毎日あります。安心。
今回は、前回に引き続き、傾聴の話をします。
医療における傾聴
傾聴は、聞き手が話し手を理解することや、話し手自身が考えを整理することに役立つと書きました。また、話し手と聞き手の間に信頼関係を築くことにも役立つと書きました。
このような効果から、傾聴は医療の現場においても効果を発揮すると考えられています。
以下、一度傾聴のトピックから離れて、「医療者が患者を理解する」ことや「医療者と患者の信頼関係」について詳しく見ていきます。
医療者と患者の相互理解
わかり合えない医療者と患者
病院を受診したとき、医師の診察を受けますね。その時、「自分の言ったことが、医師に伝わった」感じはしますか? あるいは「医師の言ったことがわかる」と思えますか?
多くの医療者や患者が、コミュニケーションに課題を感じていると言われています。
医師が患者に情報を提供していると感じている度合いほどには、患者は医師から情報を提供されているとは感じていません。例えば、以下のように:
「病気の情報を十分に提供している/されている」と思う割合
医師側:43.2% 患者側:33.1%
このギャップの原因の一つは、医師と患者の間にある知識の差です。前提知識の多い医師は「十分説明した」と思い、患者は「説明が十分でない」と感じやすいのです。
患者としての振る舞いについて
もちろん、医師と患者の知識の差が完全に埋められることは難しいでしょう。とはいえ、コミュニケーションにおけるギャップを是正しようと、双方が努めることは重要です。そう、専門家である医師だけでなく、患者もです。*2
近年では、医療を受ける側も積極的に医療に参加しようという動きが活発になっています。例えば、認定NPO法人 ささえあい医療人権センターCOMLでは、「新・医者にかかる10箇条」を公開しています。「患者も責任をもって医療に参加しよう」という考えのもと、以下10項目が謳われています:
1. 伝えたいことはメモして準備
2. 対話の始まりはあいさつから
3. よりよい関係づくりはあなたにも責任が
4. 自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
5. これからの見通しを聞きましょう
6. その後の変化も伝える努力を
7. 大事なことはメモをとって確認
8. 納得できないときは何度でも質問を
9. 医療にも不確実なことや限界がある
10.治療方法を決めるのはあなたです
医師の話を理解する努力をすることや、自分も治療方針の決定に責任をもつこと、医師と患者の間に信頼関係を築くことが大切とされているようです。
医療者と患者の信頼関係
医療者と患者の信頼関係について……書く前に時間切れになりました。
今回はここまでにします。お付き合いありがとうございます。
*1:NTTコムリサーチ, 医師と患者のコミュニケーションに関する調査, https://research.nttcoms.com/database/data/002097/, 2018年12月13日アクセス
*2:なお、患者だけがもつ専門性もあります。「患者は自分自身の身体や精神についての専門家である」という考え方です。