川上弘美 著(2020)
見開きでひとつの季語、それを使った俳句一句、そして川上さんのエッセイという構成の本。春、夏、秋、冬、新年とある。途中にトレーシングペーパーのページが挟まっていて、あるモチーフのイラストが繰り返し印刷されているのだけれど、それはよく見ると表紙にあるイラストなのだった(わかめ?とか)。
デザインがかわいいし、あまり大きくなくて、文字が大きいので、気軽に読める。
最近は自問自答ファッションで自分のことばかり考えているので、こうして他人の感性に触れられるのはとても嬉しい。そら豆のふこふこしたところや、でかいががんぼ、季語で「月」といえば秋の月っていう決めつけにおののく気持ち(慣れると慣れてしまう)とか、私も自分の記憶を引っ張り出して楽しめてよかった。
川上さんのエッセイがまた、ほっこりとあったかくて、とてもいい。歌会で会う人みたいな感覚がある(なんだろう、季節をちゃんと生活している生活者、のような感じ?)
ファンレターが1年に数通という話、川上弘美さんが?と思う……これは数年分の連載を書籍にしたものだから、結構前の話なのかな。でも今は、感想をインターネットに書いたりもするし、作者の方にお手紙を書く人の割合はもっと減っていたりするのかしら。
人の多い場所が苦手で、お子さんの夏休みはお墓参りがレジャーだった話、好きです。いろんな家庭があるねえ。
>せり・なずな 以下省略の粥を炊く 池田政子(p207)
七草を、以下省略! 印象深い句でした。