単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

読んだ:寝る前に読む一句、二句。 : クスリと笑える、17音の物語

 夏井いつき, ローゼン千津 著(2017)

寝る前に読む一句、二句。 : クスリと笑える、17音の物語 (ワニブックス): 2017|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

以前、夏井先生のエッセイ『瓢箪から人生』を読んだので、夏井先生とローゼンさん(この敬称の付け方はどうなのかわからないが)のお人柄はなんとなく存じ上げていた。これはそのお二人が、俳句にまつわるトークを繰り広げるケーハツ本。きょうだいの心地よい温度感が伝わってくる。

p139の注釈にある『怒りや憤りを俳句で吐き出すと、血が濁らないですむ。散文や会話で吐き出すと血が濁る。悲しみや痛みを俳句で吐き出すと、その俳句がやがて己の心を癒やしてくれる。』がとても印象的だった。『瓢箪から人生』のヒヤシンスの句をちょっと思い出した。
私は短歌詠みなのだが、短歌は散文寄りなんだろうか、どうだろう? 怒りの内容を説明しようと思うと、短歌にはそれなりに字数のスペースがあるから、散文ぽく作ることもできるのかもしれない。けれども、私自身、しんどいことを短歌にすると気が楽になるという経験はあるので、多少俳句と重なる部分もあるのかもしれない。それを「血が濁る、濁らない」でとらえたことがなかったので、そうか、短歌でも血を守っていたのかな、と思ったり。ちょっと嬉しい。
あと、「やがて己の心を~」が、そうか、と思ったところ。歌を作っている間も、癒やされている感覚はあるのだが(痛みを客観視しているので、痛みと己が切り離されている感じがする)、もっと長いタイムスパンで効いてくる面もあるのかも。それは楽しみ。

あと、ローゼンさんのお話で、シャネルのリップがちょっとほしくなったぜ*1

*1:身内に贈ったことだけがある。