単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

読んだ:のっけから失礼します

三浦しをん(2019)

 

のっけから失礼します (集英社): 2019|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

この間『愛なき世界』を読んだ。三浦さんの新しめのエッセイが読みたいなあと思って手に取った本。それでも2019年ってコロナ前だから、やたらと過去に感じてしまうな。

女性誌の巻頭エッセイ。オタク色がやや穏やかに思われたが、やはりハイローの話になると昂ぶる。ハイロー見てみようかな。19みほ村正ソロ見た友人が「ハイローだ……!」と取り乱していたのでずっと気になってる。暴力が苦手なのでハードル高いんだが、宝塚版が気になるので、原作から……。

愛なき世界の取材の話がたまたま出ていて嬉しかった。

定期的に書いていたものをまとめた本というのもやっぱりいいなあと思う。並べて面白いくらいの質を担保できたらいいんだが(私に)……。

読んだ:母親になって後悔してる

オルナ・ドーナト 著
鹿田昌美 訳(2022)

母親になって後悔してる (新潮社): 2022|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

これは読んでよかった本。今年一番の本になる気がする。ただ、誰彼問わずおすすめできる本ではない。

 

出版社による概要。

もし時間を巻き戻せたら、あなたは再び母になることを選びますか? この質問に「ノー」と答えた23人の女性にインタビューし、女性が母親になることで経験する多様な感情を明らかにする。女性は母親になるべきであり、母親は幸せなものであるという社会常識の中で見過ごされてきた切実な想いに丁寧に寄り添った画期的な書。

オルナ・ドーナト、鹿田昌美/訳 『母親になって後悔してる』 | 新潮社

 

心を動かされなかったくだりがないくらいなのだけれど、特に印象的だったところ。研究参加者の一人が、インタビューの後、研究者宛に補足の手紙に書き送ったこと。

2人の子どもを産んだ後悔について説明するために、手紙を書こうと(と言うより、頭の中の考えを整理)したときに、言葉がいかに痛ましい真実を薄めてしまうかを知りました。でも、言葉以外に気持ちを伝える方法はありません(もちろんありませんよね。それともありますか? ダンスとか?)。言葉は耐え難い犠牲を、可能で耐えられるものに変えてしまいます。

『母親になって後悔してる』p233

 

不妊治療のさなかに歌を詠んだ私も、どうにもつらい気持ちを咀嚼可能な大きさにちぎるために、言葉にしていた(という面がある)。言葉にしなければ、つらさに対処することができない。それはつらさを過小評価することかもしれないが、でも、たとえ踊っていたって人と分かち合うことは(私には)できないし、そうする他なかった。

 

読んでいて、何度も何度も、私の中にインストールされている「母(良い母)」の価値観が「(インタビューを受けた人や、筆者である研究者の発言について)こんなことを考えるなんて許されない」と叫んだ。つまり、……つまり、私が母になった時にもきっと同じ声が、「こんな感情を抱くなんて許されない」と叫んで、私自身の(素直な)声を無視しようと、なかったことにしようとするのだろう(というか、そんな声があることを認めないのだろう)。ぞっとする。妻になっただけで、妻の亡霊と激しい争いをしなければならなかったのに?

 

先に母になった友人たちが、どんな気持ちを抱いているのか知らないけれど、場合によってはこの本が助けになるかもしれない。

読んだ:愛なき世界

三浦しをん 著(2018)

愛なき世界 (中央公論新社): 2018|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

発行したときから読みたいと思っていたが、今読みました。

安心して読める面白い長編小説はとてもありがたいものである。ポインセチアのくだりとか「うわー! うまい」と感激した。ものとね……状態というか感情をね……うまくリンクさせられたら小説として楽しいよね……(自分が書くときの話を考えています)。

表紙に箔押しされているあれの名前をしばらく思い出せなくて、「……エッペン! エッペンドルフ! エッペンチューブ!」って思い出せて嬉しかった。調べたらエッペンドルフというのはメーカー?の名前であって、あれ自体はマイクロチューブというらしい(作中でもすぐに出てきた)。

私もPCR検査は実習で一回だけやり、懐かしいなあと思いながら読めて楽しかった。門外漢が読んでもへえ~と面白く読めるのが三浦しをんさんのお仕事系本の面白いところだなあと思う。

あと、最後に二人が交際したらどうしようとやや心配していたけど、全く心配要らなかったので本当によかった。

 

作中に出てくる建物ってどこなんだろう。って見てみたら、取材を受けた研究室の記事が引っかかった。ちょっとほっこりするな。

愛なき世界の文庫版が出ました | 東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 発生進化研究室:塚谷研

 

懐徳門すぐのところだった*1

理学部2号館 - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部

*1:知人がここに通っていた気がする。

読んだ:家守綺譚

梨木香歩 著(2004)

家守綺譚 (新潮社): 2004|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

これは連句で見た句の元ネタと聞いていて、読んだ。初っ端から亡き友の漕ぎしレガッタ状態だったし、5ページそこらで幻視までしていた(幻ではないのかもしれないが)。なるほどジャンル句だ。

非常に好きな話だった。

巻末の「全篇書き下ろし」というのがよい。私もやりたい。

読んだ:西の魔女が死んだ : 梨木香歩作品集

梨木香歩 [著](2017)

西の魔女が死んだ : 梨木香歩作品集 (新潮社): 2017|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

西の魔女が死んだ
ブラッキーの話
冬の午後
かまどに小枝を

 

信頼できる知人が梨木香歩さんの作品の話をよくしているので、何冊か読んでみた。前にも読んだことがあるので、読み返し、である。

装丁がシンプルでとても素敵。

表題作以外の作品は初めて読んだ。ドラム缶に吠えるブラッキー、よい。

「冬の午後」の「こんなことは私の致命傷にはならない」のくだりがすごく好き。p195の4-5行目、こういう視点すりかえのギミック大好き。きゅんとする。

「かまどに小枝を」、おばあちゃん視点の話が読めて嬉しかった……!

 

私も魔女になりたい。文系魔女になりたい。ので、(ので?)自分で決められるようにしたい。人生の関係者がどんなに多くなっても、身勝手にはならず、それでも、嘆いたり人のせいにしたりしないで、自分で決めたい。自分で決めたのだと、思っていたい。年々難しくなるんだけど。それでも。

読んだ:付喪神

町田康 文(2015)

付喪神 (講談社): 2015|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

知人と刀剣乱舞の話をしていた時、「付喪神って妖怪ですからね」という話を聞いた。知らなかった。それでたまたまこれを読んでみたんですが、なるほど、こういうことならたしかに妖怪だわな。

 

文章がちょっと尋常じゃなく面白かった。この方の本はいつかまた読む気がする。

イラストがちゃんとグロい。

途中まで読んだ:要点をギュッ!はじめての簿記図鑑

西安寿 著(2018)

要点をギュッ!はじめての簿記図鑑 (池田書店): 2018|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

確かにわかりやすい。

しかし私がそもそも簿記にあんまり興味ないせいで頭に入らない。もっと分野に関心を持たねば……

読んだ:本物のリーダーは引っ張らない : チームをつくる4つの感情スイッチ

河合太介 著(2018)

 

本物のリーダーは引っ張らない : チームをつくる4つの感情スイッチ (講談社): 2018|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

ビジネス書の中には、謎に小説仕立てになっているものがあり、たいがいそういうものは好きになれない(好きになれないせいで言いたいことが頭に入ってこない)ことがおおいのだが、この本は本当に最初から最後まで小説で終わり、清々しさを感じた。あとがきすらなかった。それにしては表紙がクールなので狐につままれたような感じがある。言っていることはさっきの2冊のビジネス書と似通っている。

読んだ:苦手なタイプを攻略するソーシャルスタイル仕事術

室伏順子 [著](2011)

 

苦手なタイプを攻略するソーシャルスタイル仕事術 (クロスメディア・パブリッシング): 2011|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

これはよかった。10年前の本だけれど、内容が古びていない。メールのコツも書いてあってありがたい。

「誰にでも結論から書けばいいってものじゃない」というのはわかってきたが、それが再確認できてよかった。登場人物もイメージが付きやすいように工夫されている。

読んだ:ぼくは「技術」で人を動かす : 今いるメンバーで結果を出す〈チームリーダー〉のレシピ

髙島宏平 著(2015)

 

ぼくは「技術」で人を動かす : 今いるメンバーで結果を出す〈チームリーダー〉のレシピ (ダイヤモンド社): 2015|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

オイシックスがキラキラ企業であることがわかった(ハロウィンには社員が自発的に仮装してくるらしい)。社風ってあるんですね。

書いてあることはかなりよかった。本気で「読む人に役立ててほしい」と考えている感じが伝わってくる。