単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

読んだ: 文体練習

レーモン・クノー
朝比奈弘治 訳

文体練習 (朝日出版社): 1996|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

前から知ってたけど今読んだ本。面白かった……! 最後までバスで行くとは思わなかった。最後にオチがつくのも全体の構成として面白い。

札を引いて書く遊び、折り返し近くになってネタ切れかなと心配になりつつあるが、これを読むと何でもできるなという気になる(いや、この本は一つの内容を書き分け続けているだけで、ネタ自体が大量にあるわけではないが)。

俳諧、短歌、古文調など面白かった。訳者後書きに苦労の跡がありありと見えてクスッとなれる。お疲れ様でした。楽しい訳でした。

読んだ:蜜と毒

瀬戸内寂聴 [著]

蜜と毒 (講談社): 2018|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

この文庫は2018年の新装版。もとは1987年……? もっと前? 控えるのを忘れていた(作中で、病院の待合でも新幹線でも、誰もスマホを見ておらず、新聞や雑誌を読んだり編み物をしたりしていて、そういう時代もあったんだなあと思う)。

瀬戸内寂聴さんの本を読まないままだったので、読んでみた。内容とかあまり見ずに手に取ったのだけれど、面白かった。新装版後書きに、出家前に書いた最後の小説で、もうこういうのは書けないだろう、とあった。「もうこういうのは書けない」って感覚、あるんだなあ、とちょっとしみじみした。二次創作作文をしてきてまだ4年くらいだけど、たまにそういうことを思うので。

読んでいて川端康成『女であること』の印象を強く思い出した(……今ブログを探したが、『女であること』の読書記録がない。なんでや)。瀬戸内寂聴を読みながら川端康成を思い出すの、興味深い。

最後に何人かバタバタ死に、好きな展開だった。片割れだけだったけど。

最後の方の、砂浜と海藻やひとでのくだりがとても美しくて、心情とマッチした景色の描写で感激した。いいなあ。こういうことがやりたいなあ。

夫に浮気されたら私も怒り狂ったり茫然としたりして怪しい占い師のところに行ってしまうだろうか。

他の本も読んでみたいです。

部分的に読んだ:異人と同人

者    浅生鴨, 小野美由紀, 川越宗一, 古賀史健, ゴトウマサフミ, スイスイ, 高橋久美子, 田中泰延, 永田泰大, 幡野広志, 燃え殻, 山本隆博 著

異人と同人 : 第二十九回・文学フリーマーケット東京 (ネコノス): 2019|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

闇本を思い出したな。しかもテーマのない闇本だった。2019年11月の文フリって私も出てなかったっけ?

読んだ:一九八四年

ジョージ・オーウェル
高橋和久

 

一九八四年 (早川書房): 2009|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

やっと読んだ~! 教科書とかにもよく出てくるし、思想の本(?)なのかと思っていたが、普通に小説として面白かった。先に1Q84の方を読んでしまい、面白かったけど内容については忘れかけているが、オリジナル(というのとは違うか?)も面白く、よかった。

筆者の思想や発見を振りかざしてきて、小説としてはお粗末としか思いようのない小説を読みげんなりして途中で読むのをやめてしまったが、巷では好評価を見かける、というのがあって、割と警戒していたのだった。

「君たちはもう死んでいる」、ぞっとしたなあ。小説を読んでいてぞっとするの、最高ね。

読んだ:一生楽しく浪費するためのお金の話

劇団雌猫, 篠田尚子 著

一生楽しく浪費するためのお金の話 (イースト・プレス): 2019|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

劇団雌猫さんだ! と嬉しくなって手に取った。わかりやすくて読みやすい、よい本だった。

つみたてNISAとiDeco使ってるけど、これ以上に資産運用するなら何がいいんだろう。元手がな……。

読んだ:木暮荘物語

三浦しをん

木暮荘物語 (祥伝社): 2014|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

なんと、2010年の本だった。そんなに前なの??

じょうずな小説が読みたくて取ったのですけど、話の筋が面白くて表現が巧みで、何より引っかかる部分がない。嬉しい。ただ楽しんで没頭して読んでいられる。

本を読んでいて、文体が好きじゃなくて読み進められない場合があると私はよく言う。けれど近頃、「文体が好きじゃない」と「推敲が不十分である」ことは別だと思うようになった。推敲とか、校正とかかな。誤字、脱字、衍字、誤変換、おかしな行頭アキの不統一、etc,etc。「文体」は味に近いけど「推敲の具合」は触感、手触り、舌触りに近い。ザラザラしてたりチクチクしたり、信じられない突起が出てたりすると、食べるとかいう話ではなくなってしまう。あと、頻発する重複表現とか、何言ってるのかわからない文章(!)とか*1。おぞぞ。
「読んでいて引っかからない文章」って、たぶん、そういうのがない、よく磨かれた文章である、ということなのかも。そして、それができる書き手は(少なくともアマチュアには)多くはない。引っかかりがある文章を敬遠していると、食べられるものがどんどん減ってしまう。日本語を書くのは難しい。自戒を込めて。自嘲を込めて。

その上で、やっぱり文体が好きじゃなくても、手触りに引っかかりがなければとにかく読み進められるようにはなった、気がする。それは進歩であるような気も。

しかし三浦しをんさんの文章は文体も好きなので大丈夫であった。面白かった。よかった。私も毎週、決まった花を5本買って活けるような暮らしがしたかったよお(切り花の世話が苦手)。

「子どもを産まなければ母にはなれないのか?」のくだりもよかった。光子ちゃん幸せになったかな。もう三十路だよね(10年前の本だし)。

*1:そういう文章に出くわすと「筆者は何を言いたかったのか」推測してしまうし、「それなら、私ならどう書くか」と考え始めてしまう。話を楽しむどころではない横道である。おぞぞ。

部分的に読んだ:女性にとっての職業 : エッセイ集

ヴァージニア・ウルフ [著]
出淵敬子, 川本静子 監訳

女性にとっての職業 : エッセイ集 (みすず書房): 2019|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

表題作「女性にとっての職業」を読んだ。

私はたぶんこの先も、自身の妻性(あるいは「妻の亡霊」)と対峙しながら、働いたり遊んだり文章を書いたりしてゆくのだろうと思う。そのたたかいは常に孤独なものになるだろうけれど、願わくば、私の愛する愉快で聡明な友人たちと、たとえライフステージが違っていても、話をして、共感や助言をしあって、先へ進めますように。たぶん、「私たちはわかりあえないはずだ」と思わなければ、どんなに立場が違っても、会話をすることはできるはずなんだ……というのが、私の信じたいことなので。

部分的に読んだ:病むことについて

ヴァージニア・ウルフ [著]
川本静子 編訳

病むことについて (みすず書房): 2021|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

目次

伝記という芸術
わが父レズリー・スティーヴン
いかに読書すべきか?
書評について
源氏物語』を読んで
病むことについて
なぜですか?
女性にとっての職業
E・M・フォースターの小説
ローラ・リー
エレン・テリー
斜塔
空襲下で平和に思いを寄せる
蛾の死
遺贈品
雑種犬ジプシー

 

表題作「病むことについて」、寝込んで初めてわかる空の美しさについて「誰かタイムズ紙に寄稿しなくていいのか?」と書いているのが好き。

「雑種犬ジプシー」犬の動作と、犬を愛する人の描写、とてもわかる。

 

読んだ:鯖江の眼鏡 : 一般社団法人福井県眼鏡協会公式ガイドブック

鯖江の眼鏡 : 一般社団法人福井県眼鏡協会公式ガイドブック (三省堂書店): 2021|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

今の手持ちの眼鏡ちゃんがいずれも鯖江の子で、たいそう調子がよい*1

写真が多い、ガイドブックだった。鯖江の人々の眼鏡作りにかける情熱よ。なんてこだわり、なんて技術の高さなんだ。これはかけててずり落ちてこないわけだわ。眼鏡って結局消耗品なんだけど、毎日使うし、使い心地がいいやつだとなんかうれしいのね。

 

*1:一本目の子は、2019年に鯖江に行きたいと言って結局鯖江に行かず東京で買ったやつ

f:id:hayamo:20220110164554p:plain※ツイートを消したらしくTwitterリンクは貼れなかった。