川上未映子 著(2018)
ウィステリアと三人の女たち | NDLサーチ | 国立国会図書館
川上未映子さんの単行本を読むのは2冊めではないかと思う。アンソロジーに入っている短編は読んだかもしれない(読んでいた)。
『すべて真夜中の恋人たち』。とても美しい装丁で、ものすごく好きな話だ。いつ読んだのかはっきりとはわからないけど、前前前居の本棚に入っていたのを覚えているから、9年くらいになるのかもしれない。
あんまりにも好きな話で、それがわかっていると、次の本に手を出しにくくなる。
本は読んでいなかったけど、このツイートはチェックしていたらしいから、やはりこの人の文章は好きなんだろう。
川上未映子、ワコールのブランドのノベルティ、それの文章がまあうまい。「女の子、登場」。 pic.twitter.com/v4be21Iiec
— urbansea (@urbansea) 2017年3月17日
そんで、やっぱり10年近くかかって、ついに2冊めを読んだのだけれど、やっぱりものすごくよかった。これは
- 彼女と彼女の記憶について
- シャンデリア
- マリーの愛の証明
- ウィステリアと三人の女たち
の4編が収録されている。ものすごく装丁がきれいだ。
この人が書く女性の一人称がすごくよい。ふつうの女性の一人称だな、と思うし、見合った語彙や文体なのだけれど、彼女たちが思うこと、伝えたいことがきちんと伝わる。超絶技巧だと思う。
記憶、あるいは「私らしさ」「私が私であること」の外在(肉体の外に、それが存在する?)みたいなテーマ・モチーフは一貫しているのかなあと思いながら読んだ。箱、花、そのようなものに仮託されて。
「シャンデリア」が百貨店だったのでわーとなった。最近百貨店について考えることが多いから。
「マリーの愛の証明」終盤がね、ほんとうに、ほんとうによかった、
少女たちは歩きつづけた。自分にしかわからない話をしながら、それでも誰かとわかりあえることを夢みながら、他愛のないおしゃべりをくりかえしながら、そしていつか、何もかものすべてにすっかり終わりがやってくることを信じながら、女の子たちは彼女たちの住むミア寮へもどっていった。なんとなく二列になって、なんとなく、前をむいて。
書いてみるとひらがなが多いなあと思う。少女らしさだなあ。
書かれている感覚は何かすごくわかる気がする。中学生とかの感じだ。そんで、最後の「前をむいて。」がめちゃいいのだよな……すごいなあ。
「ウィステリアと三人の女たち」これがさ……! 川上さんの書く破滅は息を呑むほど美しい。美しい破滅が好きなので嬉しくてしょうがない。でも破滅って再生と同義だったりするんだよなあとしみじみ思う。とてもいい話だった。
「シャンデリア」以外は女性の同性愛っぽい描写だったなと後で気づく。
次に川上さんの単行本を手に取るのはいつになるんだろうか。こんなに熱狂的に好きな話を書く人と同じ時代に生きているのは嬉しすぎるから、もっとインタビュー記事とか読んだ方が良い気がしてきた。