劉慈欣 著
大森望, 光吉さくら, ワンチャイ 訳(2022)
今ですか? 今です!
初めての「三体」です。あんなに有名なのに。
後から刊行されたエピソード0から行くのどうなんでしょうね。
途中で兵器開発の話になったり戦争が(急に?)始まったりして読むのがしんどかったけれど、まだ気になる伏線がある……と思ううちに最後まで読んでいた。
情景描写がとても美しい。三国志とか昔の中国の詩が会話文で引用されるのが中国SFだって感じがする。
物理学界隈のところは半分くらいしかわかってないけど、それでも読めたので助かった。
シリーズの他作品のあらすじを見るだに、丁儀という人が大事そうなんだけど、丁儀が出てくるまでに200ページくらいかかっていた(半分くらい)。「超人を呼ばねば」で章が終わったとき、私でさえ「丁儀?」と思ったのだから、過去作を知っている人は「丁儀!」と大盛り上がりするだろうし、ページをめくったら章タイトルが「丁儀」なので舌を巻きました。構成の面白さ、細部の描写の確かさ、どっちもすごい。
私は張彬先生が好きです。疲れ切っている研究者ってセクシーだよね。序盤でこの人絶対球電マニアでしょと思いました。それが明かされるのが早すぎて、この後どんだけ話があるんだよと思った(もちろん、たくさんあった)。
全体的に読むのに体力が必要で、すごく好きな文体というわけでもなく、SFならこの間読んだ「火星の人」の方が好みだったなあという印象。あちらの理屈のところは球電以上にわからなかったけど、語り口がコメディだったからなあ。雰囲気で本を読んでいる説。