単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

途中まで読んだ:数学者の休憩時間

藤原正彦 著(1993)

数学者の休憩時間 (新潮社): 1993|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

非常に面白かった。数学者でエッセイスト、なんてあまりにも素敵な作者(ご存命)。御本人の思想がくっきりしている、描写がたくみ、で、なんかこのまま小説になりそうな、すごく味の濃い(そしておいしい)本。今とは時代がかなり違うので、ちょっと感覚が違うなと思うところもあるけれど、活写されているのは気持ちよい。

「数学は増える一方」みたいな話が面白かった。他のサイエンスの分野では、従来の仮説が否定されて新設が採用されることはよくあるけど、数学では一度真実だと認定されたことはまず覆らない。だから、初学者が(というか、後で自分で研究したい人が)学ぶべきことは年々増えていて、ではいよいよ全く新しい発見をしましょうという段階に至る頃には、もっとも研究に適した気力・体力の時期を逃すのでは、というようなお話。この本から30年が経っているが、今どうなっているんだろう。