これは2022年アドベントカレンダー「勝てない戦をする」第6日目の記事です。
昨日はデイキャンプを始めたきっかけの話をしました。憧れの人のかげを追い、いつしか自分自身の森の奥へと進んでゆくのだ。
今日はごはんの話をしたいと思います、今日こそ*1。
でかいシェラカップでどこまでも行く
キャンプで使う食器に、シェラカップ、というものがある。丸い金属の器で、持ち手が付いており、たいがい内側に目盛線がある。火にかけて調理器具として使えるし、そのまま器としても使えるものだ。
たいがいのシェラカップは200~300ml(計量カップか、それより一回り大きな容量)。ただ私は900mlのを買った。大きい。初めてのデイキャンプの直前に、お湯を沸かしてお茶を淹れたいと思い、キャンプ用品店のスタッフさんにその話をした。スタッフさんは、アウトドア用のやかんやクッカー(コンパクトな鍋)を紹介しつつ、最後に、その大きなシェラカップを教えてくれたのだった。「これがあれば、お湯も沸かせるし、ラーメンも作れるし*2、炒めものもできますよ」という太鼓判付きで。私は「ホットケーキも焼けますか?」と聞き、店員さんは「もちろん!」と笑顔で頷いた。それで、これに決めた。屋外でホットケーキが焼きたい*3。
これは、シェラカップとしては大きい。しかも、目盛りが付いていない(なんでだろう?)。「でかいシェラカップ」というよりか、「ちっこいフライパン」と呼んだほうがわかりやすいかもしれない。
他の調理器具について
私がデイキャンプに持っていく調理器具は、このでかいシェラカップと、ホットサンドメーカー(もともと家にあった)のみである*4。
キャンプの際によく使われる調理器具としては、メスティン、というやつとか、クッカー、というやつがある。メスティンはアルミのお弁当箱のような形で、片手用のハンドルが付いている*5。クッカーは、鍋やフライパンの役割を果たすもの。マトリョーシカのように、いくつかを重ねて収納できるものが多い。
……記事を読んで知ったが、メスティンはクッカーの一種なのか。失礼しました。
いずれも私は持っていない。私はこのでかいシェラカップでどこまでも行く。行けるところまで。
キャンプ炊飯の話
キャンプで炊飯、といえば、メスティン炊飯が主流らしい。私はキャンプの炊飯は飯盒のイメージだったのだが、飯盒だと炊けるご飯の量が多すぎるし、他の調理器具としては使いづらい*6。メスティンなら、0.5合などソロの一食に適した量のご飯が炊ける*7。もちろん、焼く・煮る・揚げる・蒸すなど、他の調理にも使える。
これは他人のツイートですが、本当にきれいな白ごはんが炊ける。
メスティンでかんぺきな白ごはん炊ける pic.twitter.com/cS9dOD4Wyb
— リロ氏/LiloSHI (@ly_rone) 2021年6月27日
私は当初、屋外で炊飯をするつもりがなかったので、メスティンは買わなかった。けれども、デイキャンプの回数を重ねていくと、「あったかいご飯が食べたいな……」という気持ちになってきた。特に、カレーを食べた回で。
見た通り、ご飯はコンビニおにぎりである。カレーはシェラカップのお湯で温めたのだけれど、コンビニの白おにぎりはうまく温められなかった。せっかくカレーを食べるなら、あったかい白米が欲しい……と思ったのである*8。
シェラカップで炊飯する
では、シェラカップでご飯を炊くことはできるのだろうか? できるんだな、これが。
検索すると、シェラカップ炊飯の記事は見つかる。ただ、900mlシェラカップを使った例は見つけられなかった。私は不安に駆られたが、やってみるほかない。
900mlのでかいシェラカップで炊飯する
自宅のガスコンロで計10回、屋外でsotoレギュレーターストーブを用いて1回、炊飯をした*9。屋外で炊飯した際には、底を盛大に焦がしてしまった*10。まだ研究が必要である。
さしあたり、自宅におけるでかいシェラカップ炊飯の手順を書いておく。自宅ではまず失敗なく炊けるようになりました。
台所の小さい鍋とかでもできそうな気がするので、興味があればやってみてほしい。炊いたご飯はおいしい。
用意するもの
手順
- シェラカップで米0.5合を研ぎ、水を切る
- シェラカップに110mlの水を入れる*11
- シェラカップに蓋をし、1~2時間放置する(吸水)*12
- シェラカップを強火にかけ、箸で底からかき混ぜる*13
- ふつふつしてきたら、最弱火にし、蓋をする
- おせんべいが焼けるっぽい香り(ちょっと乾いた香ばしい香り)がしたら、火を止める*14*15
- シェラカップを火から下ろし、タオルでくるむ。20分ほどそのままにして蒸らす*16
- 完成
炊きたての白米がおいしい
本当に米が炊けるのか半信半疑で始めたのだけれども、ご飯は炊けた。火と水があれば、米は炊けるのだ……。弥生人の感動を追体験する気分である。炊飯器じゃなくてよかったのだな*17*18。
シェラカップで炊いた白米は、とても美味しい。炊飯器で炊いたものより、粒がしっかり立っている。もちもちで甘く、時折混じる香ばしい部分がまたおいしい(「お焦げ」の一歩手前みたいなものを作り出すことが多い)。
私は普段、ご飯を食べる時、炊飯器でまとめて炊き、一食分ずつラップにくるんで冷凍して、食べる時にレンジで解凍している。炊きたてのご飯を食べる機会は、週に1回あるかないか。解凍ご飯が当たり前だったので知らなかったのだが、もしかして、炊き立てご飯の方が、ずっとおいしいのではないか……?
と、この先も少し書いたのですが、きりがいいのでここまでで出します。明日はおかずの話をしたいです。
何かあればお気軽にどうぞ! 何もなくても絵文字をどうぞ! いつもありがとうございます!
*1:一つの話題が二日間以上に渡って書かれる感じ、アドベントカレンダーだなあと思う。
*2:チキンラーメンみたいな、乾燥した袋麺がちょうど入る大きさなのだ。
*3:まだシェラカップでホットケーキを焼いたことがない。ホットケーキはホットサンドメーカーで焼いてしまった。
*4:強いて言えば、「直火OKなマグカップ」も含まれるかもしれない。最近はそれでお湯を沸かし、そのままティーバッグを入れている。
*5:リロ氏のキャンプ飯で有名かもしれない。
*6:これはキャンプショップの店長に教えてもらった。
*7:あと、「半自動炊飯」という、簡単な炊飯の文化がある。固形燃料(旅館の夕食で一人用鍋の下に置いてあるやつ)を使って加熱し、火が消えたらタオルでくるんで蒸らすと、ご飯が炊きあがるというもの。私は固形燃料を使った炊飯はやったことがない。
*8:サトウのごはん的なものを湯煎する手もあるが、私のシェラカップにはレトルトごはんとレトルトカレーを両方入れるだけのゆとりはない。先に温めた方が冷めてしまいそうだ。
*9:毎回、以下のような作業メモを残していた。米と水の分量、各工程の手順と所要時間、炊きあがりの様子や味、次回の改善点など。それが役に立った。実験ノート文化だ。
*10:とはいえ、焦げ付いたのは全体の5%程度で、総じておいしいご飯ではあった。ただ、シェラカップの底に、取れない焦げが付いた(そうなるだろうなと思っていたので、悲しくはない)。
*11:120mlでもおいしく炊くことはできた。
*12:夏場は30分~1時間程度、冬場は1~2時間程度らしい。11月~12月は吸水1時間でも2時間でもおいしく炊けた。
*13:吸水によって水位は下がっているが、そのまま水を足さずに炊飯してOK
*14:私の場合は、弱火にしてから10〜11分くらい。
*15:多くの炊飯記事で「おせんべいが焼けるような香り」と書かれていて、「キャンパーってそんなにおせんべい焼いたことある?」と戸惑った。私にはおせんべいが焼ける香りがわからない。何度か炊飯していると、炊飯中の香りは、「甘くて水っぽいごはんらしい匂い(ぐつぐつ)」→「水分が飛んで乾いた、ちょっと香ばしい匂い(ぱちぱち)」→「焦げた匂い」と変化していくことがわかってきた。この、「ちょっと香ばしい匂い」の段階で止めるのがコツである。焦げ臭は本当にただの焦げ臭なのでわかると思う。でも、最初はどこが火の止め時の匂いなのかわからないと思うので、適当にシェラカップの蓋を開けて、見た感じご飯ぽいかどうかをチェックするのをおすすめする(7分以降くらいだろうか)。途中で蓋を開けても、すぐ閉めてしまえば、ご飯の炊きあがりがまずくなることはない、経験上。屋外炊飯で底を焦げ付かせた時には、蓋を開けた時点で、「底の焦げ地獄が息を吐いているな……」感があった。
*16:これを10分にしたらちょっと硬く、40分にしたら冷めてしまった(それはそう)。
*17:昔住んでいた寮の共同キッチンで、炊飯器を持っていないおねえさんが、毎回土鍋でご飯を炊いていた。それで、ご飯って炊飯器じゃなくても炊けるんだ……という認識はあったのだが、本当に手持ちのシェラカップでうまく炊けるのかは謎だった。でかいし。