KAWADE夢ムック(2017)
俵万智 : 史上最強の三十一文字 : 総特集 : 『サラダ記念日』刊行30周年記念 (河出書房新社): 2017|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
ムック本。印象の覚書。
- 穂村弘さんって俵万智さんと同い年だったのか
- 作家としての又吉さんの文章あまり読んだことなかったので思いがけず読めて嬉しい、新鮮
- 口語だと文語に比べて歌に入れられる内容が少ない
- 短歌には、短歌としての良さを極めることと、大衆に気に入られることとの間に断絶がある(とされている)
- サラダ記念日の刊行時「これは短歌なのか?」みたいな歌壇のあれがあった
- 神の一手みたいな最高の一首を詠みたくて詠み続けている歌人もいる
- 俵万智と石川啄木は似ている
- 俵万智をうたう、というコーナーが面白い。歌人たちが「俵万智をうたう」というテーマで数首を寄せているの。愛。小島なおさんの「俵万智の名詞たち」が特にいいなあと思った。「東急ハンズ」が歌に入れられず、「LOFT」として一首にする。
- 「俳句は短歌に嫉妬するか」(小林恭二と俵万智の対談)で、句会と歌会の違いの話があり、かなり興味深かった。句会では「作者が自分の話」をしだすと顰蹙を買うらしい。へ~!
- 「これは男が泊まっていったという歌だね」(大野普と俵万智の対談)、ものすごく面白かった。国語学者さんなのね。「〇〇を詠み込んだ歌が何首ある」とか「体言止めがどのくらいある」とか、そういう観点からの読み込みもあれば、歌の背景(情景)?の的確な洞察もあれば、ものすごく面白い。自分の作品を他者に正確に解釈されるのが楽しくないわけがないでしょうと私などは思ってしまうので、読んでいて楽しかった。
- 「あの本ではこういうことをして、この本はその本の延長線上にあり、こちらの本はまた別の挑戦をした」というような、本を出し続けることによる積み重ね、という視点がとてもよかった。私もそうありたいなあと思う。本を出すのは楽しいが、本を出し続ける楽しさはまた別にある、というか。一次元的な喜びが三次元的になっていく。時間要素があるから四次元かなあ。それは何度か繰り返さなければ、そして「あの本ではこういうことをしてみて、うまくいった/いかなかったから、次はこういうことがしたい」というような、振り返りと先を向く意識の両方がないといけないよねと思う。そして、そうありたいな、とも。
- 若山牧水記念文学館に行かねばなあと思いました。あと、伊藤一彦さんの歌を読んだほうがいい気がする。