円城塔 著(2018)
文字渦 (新潮社): 2018|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
自分の原稿が終わったので、味の濃い商業小説を読むか! と思って円城塔。早々に部首が発光していてさすがの良さだった。なんでこんなこと思いつくんだろうなあ。「闘字」とか。
境部さんの造形が(あるいは「みのり」が)好きそうなフォロワーさんが何人か思いつく。
「梅枝」(p99)から引用する。
ところでもちろん、「御法」を写すには、テキストと書記系の強い|結合《カップリング》が必要となる。この場合、悲しい場面を写すときには筆が乱れるべきなのだ。つまり、機械としての「みのり」は、源氏物語の内容を理解しつつ、涙を流し、手を震わせながら文字を書かねばならない。これはもう、控えめにみても高度人工知能と呼んで構わないのではないか。外見は無骨な「みのり」だが、繊細な心を備えている。脳神経の塊や、ニューラルネットワークに心なるものが宿るとするなら。
「種字」の三葉結び目のくだり、くずし字をちょっとかじっていてよかった~となった。
あと、「誤字」、本文の端を走り回る今剣に惑わされないように高速で眼球を上下させるはめになった。楽しかった。
この解説がよかった。
個人的には川端康成文学賞なのがオチって感じで良かった。