単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

読んだ:文体の舵をとれ : ル=グウィンの小説教室

アーシュラ・K・ル=グウィン
大久保ゆう 訳

文体の舵をとれ : ル=グウィンの小説教室 (フィルムアート社): 2021|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

句会でお世話になっている方がお勧めされていて、面白そうと思って読みました。面白かった~! 私は自分の文体に振り回されている(そしてその遠心力を愛している)けど、それが外からどう見える(読まれる)のか、に意識を向けるのはいいことな気がする。

練習問題を全然やっていないので、やってみたいな。この本は手元に置いていていいものと思われる。

第7章 視点(POV)と語りの声、第9章 直接言わない限り──事物が物語る、第10章 詰め込みと跳躍、あたりが特にへえと思いました。私はPOVがぶれがち、特に三人称をやるときに単視点と神の視点が混ざる。自覚したからといってどうなるのかはわからんが……。

あと、今書いている話がもともと3万字になったらいいな~と思っていたけど3万行かずに終わりそうでなんとはなしヘコんでいたところだったので、以下の部分は心に響いた。募集した質問にル=グウィンが回答するくだり。

短篇から長篇へとどう書き換えればいいのかと悩む質問者が「この小舟をクルーズ船に変えるにはどうすればいいでしょうか?」と訊ねると、ル=グウィンは「クルーズ船のことなんて忘れなさい。むしろ、自分がどこに行こうとしていて、どうやってたどり着くつもりなのかを、気にするのです──あとたぶん、そうしたい理由についても」と返答する(4)。(p247)

出典URLが出ていたので、そっちも引用する(下線は私が引いたもの)。

Kim: I wrote a short story, and won an award (3rd place, but still an award) in a short story contest. I feel like the story could be the start of a novel. How do I take this seed and make it grow? Or, to use the sailing metaphor, how do I turn this dinghy into a cruise ship?

Ursula: Well, Lt Bligh sailed an overloaded, 23-foot, open ship’s boat 4,000 miles. He knew how to navigate. And he just kept going. I’d say, forget the cruise ship. But do have in mind where you’re going, and how you intend to get there — and maybe why you want to.

Bon voyage!

 

bookviewcafe.com

 

 

私はあの二振りがいったい何で、永遠の別れとは何で、それらに何の意味があるのかを知りたくて(きっと何か意味があるはずなんだと思っているから)、回想を読み解くことでそれに近づきたいんだ……。

良い本を読みました。ありがとうございました!