単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

読んだ:青子の宝石事件簿

和田はつ子 著(2013、角川春樹事務所)

 

青子の宝石事件簿 (角川春樹事務所): 2013|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

三人称で小説を書くのに手間取っていた。短い話ならやったことはある、三人称。だけど、プロットを書いてから取り掛かるやるような、2万文字を超えるような話で、三人称で書ききることはまだやったことがなかった。

どうしようと思って、三人称でも面白い小説、を読むことにした。*1

なんとなく、歴史小説とかは、三人称で面白いのかなと思った。新選組血風録とかみたいに(?)一文がシンプルで、描写が簡潔で、私を引き込まれる面白さがある。話の筋や盛り上がりのシーンが明快で、そこに面白さがあるから、文章を飾ると流れの妨げになるのだろう。多分。

私が書いている話で話の筋がそもそも面白いのかは謎だが、武器として、「簡明で力強い文章」を持っておけたらいいなあ、と思った。それで、これまで全然手に取ってこなかった、歴史小説の棚に行ってみた。

和田はつ子さん、というお名前を、すっごい長いシリーズの背表紙によく見ていたことがある。今回はそこから、とっつきやすそうな本を読みました。宝石、好きだし。

短編4本。おっっっもしろかった……。文体は真似できる感じじゃないけど*2、登場人物がいきいきしていて、いい感じにデフォルメというかアイコン化されている。一本の話の中に、宝石と、そして何か既存の物語(伝承や、宮沢賢治など)がきちんと織り込まれていて、知識の深さ、組み合わせの妙を思う。謎解きとしても面白いし。

すごいな~。

あと、この話は三人称ではなく一人称だった。適当に手に取っている……。

 

読み切ってないやつ3冊も記録しておく。

剣客商売池波正太郎著 このお名前もめちゃ見かけるけど読んだことなかった。三人称です。文体がざくざくしている。あと性的な話題が多い(気がする)

はやぶさ新八御用帳 1 大奥の恋人』平岩弓枝 このお名前もよく見かけるけど読んだことがなかった。三人称。上記のと合わせて、ここまで地の文を省いてもいいんだなあと思う。

『南国太平記 下』直木三十五著 また下巻を……!! 直木さんの本初めて読んだ。ほんとに冒頭しか読めていないんだけど、面白いよ……面白いじゃん……。めちゃ長いので生きているうちに読み切るかわかんないけど、非常によい。うまく言えないけど。

*1:昔、短編集を作ろうと思った時に、「短編って何……?」となって短編集を読んだこともあった。

*2:ノローグの上下を――で囲って示すやり方とか。ちょっとマンガっぽいというか、新井素子さん感を感じる。新井素子さんがやる手法なのかは知らないけれど。そうやって心中の描写を示せると、地の文が膨張して話の流れが妨げられるのを防げて、便利っぽい。