単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

それでも、ここではないどこかへ

これは2020年アドベントカレンダー「感情と意思」第12日目の記事です。

昨日は筋トレの話をしました。リングフィットアドベンチャー、在宅勤務の私を助けてくれて本当にありがとう。

pinnni.hatenablog.com

 

今日は移動の話をします。

知らない場所に一人で行くのが好きだ

前からよく言っているように、私は知らない場所に一人で行くのが好きだ*1

去年のアドベントカレンダーにも一人旅の記事がある。

pinnni.hatenablog.com

刀を見るようになってから、遠くに行く機会がぐんと増えた。静岡(蜻蛉切・太鼓鐘貞宗・愛染国俊・小夜左文字*2、大阪(石切丸・小狐丸・小烏丸*3)、香川(にっかり青江)、京都(たくさん*4、福岡(へし切長谷部日本号他たくさん*5*6)。

年に2回くらいは、遠出をしていたんじゃないだろうか。刀を見にでも、そうでなくても。もっと多く出かけた年もあったかもしれない。その経験の中で、一人で遠くに行って、楽しく帰ってくる技を、たくさん身につけたんだと思う。*7

移動の制限

COVID-19の流行により、移動のハードルはぶち上がった。

どこかに行きたい、と思うことすら封じるようにして、おうちで過ごそうとした。実際かなりうまくおうちで過ごしているんじゃないかと思う。紙とペンがあれば一人で無限に盛り上がっていられるタイプの人間でよかった。

どこにも行かなくても、毎日の暮らしの中で、なんとか"移動"し続ける=変化し続けるために、私はなんかいろいろ工夫していた。偉い。

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これまでのようには移動できない。

でも、ここにいるまま、変わることはできる。変化は移動である。昨日までと違うように世界を見ることができるのも、昨日までできなかったことができるのも、昨日まで知らなかったことを知っているのも。

自分を移動させ続けたいと願う。心が死なないように。

驚きがないと心が死ぬと鶴丸国永は言う。驚きとは予想外の変化のことではないか。変化がなければ、移動がなければ、心は死んでしまう。

心は大事にしないといけない。だって、この暮らしはまだまだ続くのだし、それを生きていくのは私なんだ。

幸い、読みたい本も、書きたい物語もまだある。鍛えるべき筋肉も、弾けるようになりたい曲も。そして、どれも、別にやらなくたっていい。誰かに怒られることもないし、がっかりされることもない。がんばらないけど、諦めない。

健気でえらい。*8

だけど、移動したいという気持ちを、「そうはいきませぬ」と抑え続けるのは、まあ無理というものだった。感情に対する意思の敗北と言えるかもしれない。*9

でも、移動したいよ

在宅勤務をしていると、本当に家から出ない。

毎朝散歩しているし、週末には日用品や食料の買い出しに行く。でも、それだけだ。

それはたぶんメンタルに良くない。どう良くないのかはよくわからないが、たぶん、続けていると悪い影響がある。私には。*10

それで時折、「遠くに行きたい!!!!!!」と悲鳴を上げながら、おとなしくお家で夕飯を食べたりとか、「一人でどこかに行きたい」と呻きながら洗濯物を畳んだりすることになる。*11

この間やった、メンタルにかなり良い移動の話

先日、久しぶりに、一人で、初めての場所に遊びに行った。

それはとても楽しくて、心が潤ってのびのびする体験だった。一人で初めての場所に行くのは1年以上ぶりだったと思う。

夕方、私は思った。「帰りたくない」。

お家に、帰りたくない。

いったんそう思うと、もうとめどなく、帰りたくない気持ちがわんわんと出てきた。

畳まなくていい布団で寝たい……片付けなくていいコップでお茶を飲みたい……掃除しなくて良い床をのびのび歩きたい……手入れしなくていい加湿器をガンガンたきたい……!!!

私、ずっとお家のケアをしてきた!!! エブリデイ!! オールウェイズ!!!  ハウスキープアンドキープアンドキープ!!! もういい!!! 休憩する!!!!*12

決めた!! 帰らない!!!

30分前に取ったホテルのベッドでごろごろする

決めた!! と書いたけど、実際は、駅ビルで夕飯を食べながら「帰りたくないな……」としみじみ思い、お店を出てベンチでぼーっとしながら、10秒くらいで決めた。そのまま旅行サイトで近隣のホテルを取り、直行した。*13

ホテルの部屋は最高だった。部屋が最高だったというか、いや悪くない部屋だったけど、とにかく、私だけの空間だった。私だけのために設えられたお部屋だった。それは最高だ。最高すぎてチェックアウトの時にメモ帳に「とても快適でした。ありがとうございました。」と書いて来た。

久々のお出かけで疲れていて、着いてすぐシャワーを浴び、ホテルのガウンを着て、ふかふかのベッドでごろごろした。最高だった。とんでもない癒やし体験だった。最高すぎて21時過ぎに就寝した。小学生だ。*14

畳まなくていい布団、片付けなくていいコップ、掃除しなくて良い床、手入れしなくていい加湿器、すべて最高だった。お風呂も磨かなくていい……。ありがとう……。*15

翌日ちゃんと6時に起きて、帰りながら、朝イチのミスドに寄った。それまで、遠くに行きたい発作が出ると、「一人で遠くに行って朝イチのドーナッツショップに行くんだ」と幽鬼のような目で思っていたからだ。*16夢は叶えるものなんだ。

ミスドで好きなドーナツをもりもり買った。朝の空気が清々しくて、手にはたくさんのドーナツがあって、最高だった。

感情と意思と、これからの移動

精神衛生は大事である。精神が死ぬと生きていかれない。

精神衛生の悪化を感情が言い立てる。意思はそれをジャッジして行動を決める。そういうイメージでいる。感情は悪者ではない。心はあまり無理をすると壊れてしまうと、ミュージカル刀剣乱舞三百年の子守唄の作中で青江も言っていた。しんどいという気持ちは、抱いてはいけないといくら思っていても、なくなるわけではない。そのシグナルをキャッチせねばならない。キャッチしたくないけど。できれば。

今後もなんとかして、心を守るために、あれこれ工夫することになるだろう。多方面に配慮しつつになるけれど、それでも、発狂して仕事やハウスキープができなくなるよりか、なんとか対処していくほうが幾分かましだと思う。

言うまでもないことだが、これは外出をただ奨励する記事ではございませんこと、ご留意くださいまし。近頃は本当にどうしたもんかという感じですし。

 

本日もありがとうございました!

明日は何の話をしよう? やってみてよかったこと、他の話をもっと聞きたいけど、明日の私次第ですね。

ラブレターやファンレター随時お待ちしております! いつもありがとうございます!

marshmallow-qa.com

*1:10年分のツイートをさかのぼったら、5年くらい前には「一人旅、寂しいしつまんない」と書いていた。初めての刀遠征、石切丸を見に大阪に行く前である(私の初めての刀遠征は石切丸だった。その1ヶ月だか2ヶ月後に、丸亀に行っている)。なんとまあ。おいおい、あんたはその後「一人で知らない街を車で走りたい」と床を転げ回ることになるんだぞと笑ってしまった。人は変わるねえ。

*2:これは人と行った。「日本刀観賞ことはじめ」の前身、「OLにもわかる日本刀観賞のツボ」を作った頃だ。懐かしい……。

*3:写しかな?

*4:書いたけど、京のかたな展は人と行ったな。

*5:日光一文字が実装されてからは博多に行っていない。そもそもまだうちに日光一文字はいないんだが。あんなに本体が好きなのに!

*6:侍展も人と行った。けど、毎年のへし切長谷部展示は2回は行った。飛行機をうっかり逃して新幹線に飛び乗ってでも行った。へし切長谷部の本体、大好き。

*7:明文化されていないけれど、旅の準備は明らかに早くなったし、旅先で「うそーん」と思うようなトラブルに遭うことも減った。

*8:しかし、この記事を書いたほぼ直後、「何が『ここにいるまま、移動する』じゃ!! 私は本当の移動がしたいんじゃ!!」と激怒してしまった。書いて、感情が追いついてきたんだろう。いいことだ。激怒してしまったので、メンタルが危ないと判断し、車を使うなど配慮に配慮を重ねて実際に移動した。移動はメンタルに良かった。

*9:「中長期的に正気でい続けるためには、どこかで『遠くへ行きたい』と強い欲求をダイレクトにケアしなければいけないな(行きたい場所について作文するとかじゃなくて)」という判断は、十分に意思の側だとは思うよ。

*10:家にいる私、仕事をしている私、友達と過ごす私、の他に、「誰でもない私=街にいる私」というモードがあるんだと思うのだ。「誰でもない私」をやるには、家を出て、家や仕事の役割から離れ、知人とも離れて過ごさなければならない。そして、私にとって、COVID-19流行以後、「誰でもない」私をやる機会は激減し、また、それをやる心のハードルが爆上がりした。しかし、「誰でもない私」こそが、他の対人関係をもつ私を潤し、癒やして、支えていたのだろうと思う。

*11:メンタルが悪そうな様子だ!

*12:書いていて思ったが、出勤していれば、強制的におうちから離れられるのだ。洗濯機の予約を忘れようが、窓を開けっ放しだろうが、エアコンを付けっぱなしだろうが、炊いたご飯を取り分け忘れようが、それがために帰宅することはない。しかし、家にいると、全てがコントロール可能である。仕事中は仕事をしているが、トイレに立った時に洗濯を入れるとか、窓を閉めるとか、何でもできてしまう。それは出勤時には不要な、余計な脳のリソースを使っているんだな、と思いました。あたい、えらいな……。

*13:こんなこともあろうかと、実はスマホの充電器の付け根のパーツを持ってきていた。何だそりゃという感じですが、1年もの間、未踏の地へのお出かけをせずにいると、出先での自分の情緒が読めない。まあ帰りたくなくなることもあるだろうとは思っていた。下着も靴下も持っていなかったが、そんなものはいいのだ。夏じゃないし。翌日は帰るだけだし。とにかく、スマホの充電は大事だ。出先で買うと高いし。

*14:翌午前に予定があり、絶対に早起きせねばならなかったというのもある。が、それにしても、即寝だった。

*15:私、毎日、ハウスキープがんばっているのでは!? えらいよ……お前は……。

*16:吉本ばなな「ムーンライト・シャドウ」(『キッチン』収録)である。また、友人と旅行に行った時、最後の朝にミスドに行ってお互い好きなドーナツを食べたのが楽しかったのだ。