単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

読んだ:喉の奥なら傷ついてもばれない

宮木あや子 著(2015)

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久しぶりに厚い小説をいくつも借りて読んでいた。これはその一つ。

 

この間も宮木あや子さんの本『ヴィオレッタの尖骨』を読んで、あれ装丁の見た目からなんでか子ども向けだと思ったんだけど全くそうではなくてびっくりしちゃったんですけど、『ヴィオレッタの尖骨』が少女の話だったのに対して『喉の奥なら傷ついてもばれない』はもう少し歳上、既婚女性が多い短編集だった。

 

天国の鬼

『守るべ家と血というのはどれほど価値があるのだろう、と思う。』(p27)

子ども、生まれた家の属性があんまりに大きく影響するの、いつもなんだかなあと思うよね。

肌蕾

三鷹プリズンだ!!!

どうしたらこのようなお話が思いつくんだろうか……。私はなかなか主人公のような年代の女性と関わる機会がないんだけど、まあ幸運かもしれん。

金色

タイトルの付け方が独特だなあ(これは私には容易にその思考が推察できないなあくらいの意味)とよく思う。少女の純真が眩しい。

指と首、隠れたところ

あーこれは……これはしんどい……。北関東の地方都市に暮らして自宅でピアノを教えている人妻(子どもがいない)……。金魚が水槽にぶつかる音がひたすら不穏で怖い気持ちが高まる……。

女という属性のせいなのか、暮らしの様式(というか、夫の特徴?)によって暮らしや思考様式がぜんぜん違うものになってしまうというの、私はまだそんなに意識していないのだが(そもそも夫がいる人が周りにそれほど多くない)、これはもっと年齢が上になったらほんとにあからさまになってくるんだろうなという気がする。もしくはそれが気になるような人とは付き合いが切れるかだな。私はあのような料理教室に行ったらしばらく立ち直れない気がする。

ろくでなし

これはとても好みだった。服、似合う良い服に気づいてしまうと戻れない感がある。

最初の一行が大変好き。あと夫を捨てるところ。

泥梨の天使

これもむちゃしんどかった。中学生の娘に介入する母親。こっそりパンツの匂い嗅いだりする(男の陰がないか気にして)。

主人公が言ってることむちゃくちゃだと思うんだけど、丁寧に読めば多分「原因」になっている事象がわかっちゃうような、それも含めて読んでいてとても嫌な気持ちになる(これはとてもほめています)話だった。あー。