単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

読んだ:家康の子

植松三十里 著

http://30miles.moo.jp/2014/0625/

 

この間、私をくずし字解読に奔走させた「ミュージカル刀剣乱舞」(

推しが背負う和歌を読みたい理系研究員の審神者が、1日でくずし字を解読した話 - 単品と単品

)。
ただ今、その最新作、「ミュージカル刀剣乱舞 葵咲本紀(きしょうほんぎ)」が上演中だ。

musical-toukenranbu.jp

 

私はミュージカル刀剣乱舞が好きで、大体の公演は会場で観ている。「葵咲」も、来週末に観劇に行く予定だ。
「葵咲」は8月から公演が始まっていて、すでに後半戦。でも、ネタバレを極限まで避けて過ごしてきた。
ゲネプロ記事*1も読んでいない。役者さんが二部衣装*2の自撮りをTwitterにアップしたので、見なかったことにして瞬速でミュートした。

しかし、ミュージカル刀剣乱舞は歴史ものである。*3

ミュージカルのストーリーを知らずとも、背景となる時代は知っておいて損はない。
私は「ミュージカル刀剣乱舞 幕末天狼傳」を見る前に、関連する時代小説を読んだことがあった。*4 調べたこと自体にか、知識が入ったからか、落ち着いてミュージカルの内容に集中できたような気がした。それで、後の公演を見る前も、登場人物の概略くらいは調べておきたいなと思っているのであった。*5

 

で、「葵咲本紀」である。

 

「葵咲」は過去作「三百年(みほとせ)の子守唄」と繋がっている*6
「三百年」は徳川家康とその長男、信康の話だった。今回の「葵咲」は、家康の次男、秀康の話になる。キャストは双子。

私は徳川秀康のことを知らなかった。情報解禁時、「秀康双子説をやるんだ!」と感激している方をお見かけしたが、秀康という人が家康の息子なのも、もちろん双子説があるのも知らない。「結城秀康」が「御手杵」の元主であることは知っていたけど、それが徳川家康の息子だとは知らなかったし、領地がどこなのかも知らなかった。それくらい知らない。

これはちょっとまずい。

「三百年」は、信康が家康に命じられて切腹させられる、くらいだけ調べて行った。それでも感動したし、号泣した。
今回も、先の歴史を知った状態で見たい。

というわけで、図書館で検索機と格闘して、見つけたのがこの「家康の子」だった。
史書も探したけれど、なかなか結城信康についての記載が見つけられなかった。歴史ジャンルでの調べ物のお作法に疎い。
というか、「結城秀康」ではなく「徳川秀康」で探そうとしていたから見つからなかったのかな、今思うと……。
それで、これは小説だけど主人公が秀康だしと思って借りたのだった。

読んでみたら、当たりだった。
秀康は双子だし、先に「葵咲」を見た友人がしきりに好きだと言う武将さんの名前も出てくる!*7

私は歴史小説をろくに読んだことがない。読んだのは司馬遼太郎の「燃えよ剣」くらいである。それも、話が面白くてというよりも、新選組のことを知るのにちょうどよいので読んだ、という気持ちの方が大きい。

でも「家康の子」は面白かった!

登場人物の感情の動きがわかりやすい。共感もできる。もちろん時代の勉強にもなったけど、「歴史を調べて自分なりに編み直して小説にする」のってとても楽しいだろうなあ、という気持ちにもなった。*8

内容には触れないけど、すごくよかった。観劇も楽しみだなあ。

*1:第一回公演の前の通しリハーサルをゲネプロという。2.5次元界隈では、プレスが入って宣伝記事が書かれることが多い。「ゲネプロ」の語源はドイツ語だそう。

*2:ミュージカル刀剣乱舞は、一部がミュージカルで、二部がライブという構成になっている。「二部衣装」というのは、そのライブで使われる、現代のアイドルのようにきらびやかな衣装である。ゲームやアニメには登場しない、ミュージカル刀剣乱舞独自の衣装で、作品ごとにデザインが異なる。さらに、ライブの最中に2回脱ぐので、それぞれ「第1形態」「第2形態」「第3形態」などと称される。注釈終わり。

*3:ミュージカルに限らず、舞台刀剣乱舞も、アニメの活撃刀剣乱舞も、もちろん映画刀剣乱舞も歴史ものである。アニメ刀剣乱舞花丸は日常フワフワアニメだけど。

*4:「幕末天狼傳」は、キャストから新選組メインであろうことがわかっていた。私は新選組といえば「銀魂」のマヨラーとサディストとゴリラとミントンぐらいしか知らず、それではまずいと思い、友人が勧めてくれた司馬遼太郎燃えよ剣」を読みました。

*5:まあ、「幕末天狼傳」の後は、ちゃんと関連資料を探してまで調べたことはない。

*6:私は「三百年」がもうものすごく好き。ミュージカル刀剣乱舞で一番好き。なお一番の推しは「つはものどもがゆめのあと

*7:その友人は内容のネタバレは何もせずにいてくれています。ラブ。

*8:刀剣乱舞界隈で小説を書いていると、往々にしてそのような状態になる。ゲーム内台詞は少ないし、来歴はあやふやだし、調べても調べてもわからない。穴は自分で考えて埋めるしかなくて、それは「本当のあなた」を殺してしまう営みに思えてとても苦しいけれど、自分の中で一本線を通せた時は嬉しくて、「わたしのあなた!」って飛びつきたくなってしまう。難儀な性分だ。