単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

物語、に

これは「人間をケアする」アドベントカレンダー第14日目の記事です。

 

傾聴に関する真面目な記事が続いています。(これとかこれ。)

傾聴やコミュニケーションというトピックは好きで、書けることは嬉しいのですが、好きゆえについ調べてしまいます。毎日続けるには筆者の気力が追いつかなくなってきました。

このアドベントカレンダーを楽しく続けるために、今日は脱線します。友人である鳥居さんの記事にあてて、物語の話を。

複雑怪奇、物語

この記事の中で、物語とはなんなのか、鳥居さんの考えがマインドマップ*1(のようなもの)にされている。

マインドマップ(のようなもの)を読んでおくと、物語について『とっちらかった』気持ちになれるかもしれません。よければ本記事を読み進める前にご一読ください。私も『とっちらかって』いるので。

物語についての話の導入

どうして人は物語が好きなんだろう。人は安心したいんだと思う。不安が嫌いで、抜け出したいんだと思う。だから物語を読み、書き、聞き、話す。

物語の脈絡

物語には繋がりがある*2。桃が流れてきたので拾った。きびだんごをあげたら仲間になってくれた。悪い鬼なので退治する。

繋がりがあると、繋がり前後の出来事をよりよく理解した気持ちになる。ただ退治される鬼の話を聞くよりも、それまでに悪行を尽くしてきた鬼が退治されると聞く方が、わかったような気になる。「それはたしかに退治されるな」と。

わかったような気持ちがもたらすもの

何かをわかったような気になると、その出来事に対して自分の考えを持つことができる。「鬼はボコボコに退治されるべきだ」「桃太郎は格好いい」「もう少し手加減してあげてもよい」。

理解すると自分の土台に持ち込める。あるいは、自分の土台に持ち込んだことを、理解すると呼ぶのかもしれないけれど。

わからないものについて

わからないものは怖い。わからないものは、安全か危険かを判断することができないからだ。近寄っていいのか離れた方がいいのかわからないものにはストレスが溜まる。不快である。なんの前置きもなく「島に住んでいる者たちを退治する」と書かれると「なんで? 桃太郎は残虐ではないか? この話は一体何なのか?」と心配になる。

わからないがわかると

だけど、桃太郎が退治しようとしているのが「悪い鬼」であると明示されると、「桃太郎が彼らを退治することはおかしくない*3」と思える。

理由や繋がりが見えると、恐怖がなくなる。恐怖がない状態は快適だ。それに、恐怖がなくなる過程もよいものだ。理由を知るのは快だ。納得するのは快だ。脈絡はよいものだ。

脈絡に支えられる物語もまた、よいものだ。人を安心させて、判断を可能にし、自分の言葉を語らせてくれるからだ。

物語から物語へ

人は自分の話がしたいんだと思う。というか、自分の話を聞いてもらいたいんだと思う。(大丈夫だと言ってくれ - 単品と単品参照。)

そのために、自分以外の人にも了解される物語は大事だ。相手が、自分をとりまく出来事の繋がりを理解してくれた時、相手は初めて自分に、感情を言葉にしてかけてくれうる。自分も感情を返し、それを理解してもらうことができる。物語を語ることは、私とあなたが感情を交わし合うための入り口になる。そこから、あなたの物語を聞くこともできるだろう。

おまけ:物語により出会う人たち

共通の物語があることで、お互いの考えや感情を伝え合い、理解し合うことができる。だからオタクはすぐ友達になる。同じ作品を好きだから、すぐに感情の話をしたり、聞いたりすることができる。

私は以前、中学生の時から大好きだった作家先生のパーティーに、運良く行かせてもらったことがある。初めて先生の本を読んでから10年以上経っていた。

パーティー会場には、日本中から、先生のご本を読んできた人が集まっていた。私のように、思春期から読んでいた人も多かった。パーティーで初めて会い、でも私たちはすぐ友達になった、と思う。1時間前まで顔も知らなかった人と同じテーブルに着いているのに、全然違和感がなかった。同窓会みたいに寛いで、先生の書いた物語をよすがに、それぞれの思い出や思いを乗せて、私たちはいつまでも話した。気持ちの昂まりにたどたどしく紡がれる言葉に耳をすませ、わかるよと何度も頷いた。あの感情の火花は忘れられない。ある一人の先生から生まれた物語、了解された一連の出来事が、各々の人生に息づいて、あらゆる感情を巻き込みそれぞれの色形に輝いているのを、初めて会った友だち同士で眺めて、讃えあった時間を。

これは先生のご感想。好き。

 

とっちらかった記事になりました。どうぞよしなに。

物語の話、もう少ししていたいな。

 

*1:頭の中の考えを目に見える形にするように、考えの要素となる言葉同士を線で結んだ図。真ん中に主題を置き、連想される要素を周りに描き足して線で結んでいく。どうでもいいが、筆者が初めて書いたマインドマップは、ゲーム刀剣乱舞に出てくる刀剣男士にっかり青江についてのもの。

*2:鳥居さんが物語について書いた別記事(うっかり人を救わない話|怪獣歌会|note)に倣い、桃太郎の話をする。

*3:まさしくreasonableである