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健康と不健康の狭間で その2

これは「人間をケアする」アドベントカレンダー第6日目の記事です。

 

前回に引き続き、「健康」の話をします。

ケアについて考えるとき、ケアする相手の状態をよく見ることは大切だと思うからです。

 

おさらい

前回は、「人間の状態は、健康と不健康はどちらか片方に決まるものではなく、その狭間の状態がある」という話でした。

今回もそんな感じの話を、別の観点からします。

 

健康と不健康の狭間を

Why 神奈川県?

神奈川県の話をします、と前回記事に書きました。

なぜ神奈川県と健康なのか?

実は神奈川県では、まさに「健康と不健康の狭間」に着目した施策がとられているからです。

 

「未病」という概念

神奈川県は、「未病」をキーワードにして、健康施策を進めています。

聞き慣れない言葉かもしれません。「未病」については、神奈川県公式ウェブサイトの説明がよくまとまっているので、引用します。

「未病」とは?
⇒神奈川県では、心身の状態を健康と病気の二分論の概念で捉えるのではなく、「健康」と「病気」の間を連続的に変化するものとして捉え、この全ての変化の過程を表す概念を「未病」としています。
日常の生活において、「未病改善」により、心身をより健康な状態に近づけていくことが重要になります。*1

このページにはぜひアクセスしていただきたいのですが、わかりやすい図が載っています。

健康を白、病気を赤に分けるのではありません。健康の白と病気の赤の間をグラデーションにして、そのグラデーションを「未病」と呼んでいます。

 

もともと「未病」は漢方用語です。単に「病気になる前」を表すだけでなく、「その人が今後どんな病気になりうるか」を予想する意味も込められた言葉のようです。*2

 

なお近年では、国の「健康・医療戦略」にも「未病」という言葉が出てきています。*3

 

狭間を泳ぐ

健康と不健康の間があることが、白赤のグラデーションと「未病」という言葉で鮮やかに示されました。

それで、何が良くなるのでしょうか?

私は、励まされるな、と感じます。

赤を白にするよりも、グラデーションを少しでも白い方に近づける方が簡単そうです。

治す、ではなくて、良くする。

治らないことはあっても、もう良くならないということはきっとない。

赤と白の間で、自分が良くなっているのか悪くなっているのかを気にかけて、少しでも白に近づけるためにどうしようかを考えることは、いいことに思います。そういう微妙な変化を見逃さないよう注意を払うことが、ケアには大切なんでしょう。きっと。

 

 

これで「健康」の話は終わりです。

次回は「ちょっと良くする」的な話をしたいです。

*1:神奈川県, 「未病の改善(健康寿命の延伸をめざして)」,http://www.pref.kanagawa.jp/docs/cz6/cnt/f480290/ ,2018年12月6日アクセス

*2:なぜ漢方用語が神奈川県で広まっているかといえば、現神奈川県知事黒岩祐治氏の功績が大きいところです。黒岩知事は、ご自身のお父様のがん闘病に関わる中で「未病」の概念を知り、関心をもたれたそうです。この記事などに、ご自身の体験が書かれています。

*3:内閣官房 健康・医療戦略室, 「健康・医療戦略」, https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/ketteisiryou/kakugi/170217senryaku.pdf ,2018年12月6日アクセス