単品と単品

ハンバーガーとチーズバーガーを食べたいときもある

読んだ:改訂新版 ロボットは東大に入れるか

新井紀子 著

 

https://www.amazon.co.jp/%E6%94%B9%E8%A8%82%E6%96%B0%E7%89%88-%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AF%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E3%81%AB%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%8B-%E3%82%88%E3%82%8A%E3%81%BF%E3%81%A1%E3%83%91%E3%83%B3-%E3%82%BB-%E6%96%B0%E4%BA%95%E7%B4%80%E5%AD%90/dp/4788515636/ref=sr_1_2?adgrpid=55890977680&gclid=Cj0KCQjw-b7qBRDPARIsADVbUbW09ZLosJoNAdj-ac_bv4INuH-LbaoL481CcuyQoV19JLfqKmD6FoYaArUREALw_wcB&hvadid=338529460071&hvdev=c&hvlocphy=1009255&hvnetw=g&hvpos=1t1&hvqmt=e&hvrand=3348834776706335479&hvtargid=kwd-332471325106&hydadcr=4074_10899444&jp-ad-ap=0&keywords=%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AF%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E3%81%AB%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%8B&qid=1565590004&s=gateway&sr=8-2

 

以前読んだ、以下の記事。

新井紀子さんは、東大に入れるロボットを作る、つまり東京大学の入試問題を解くロボットを作っている研究者。ロボットは文章を「読めない」が、日本の子どもたちは「読めて」いるのか、という話。

news.yahoo.co.jp

 

私も、上記記事に出ている練習問題を間違えた。「読めていない」ということだ。

そういう経験があって、今回新井さんの本を読んでみた。

印象的だったこと:

  • ロボットにできることの限界と可能性を知ることで、人間に残される「仕事」とは何かを考えられる
  • ロボットは、数学の問題文に出てくる「赤玉と白玉が入っている袋から、赤玉を2つ取り出し、そのまま……」の「その」が何を指しているのかがわからない。だから問題を解けない
  • 人間が当たり前に読めていることには、多くの前提があることが感じられて興味深い
  • ある模擬試験で出題された問題を解く中で、東ロボくんはためらいなく900桁の計算をする(なお21の21乗を試験中に計算した受験生もいた)
  • 東ロボくんの開発の過程には、各種予備校の模擬試験、講師の先生たちのアドバイスがあった
  • 『先日、あるテレビ番組がこの問題を取り上げて、東大の新入生に解いてもらったそうです。正解できたのは、たった52%。ショックでした。東ロボくんのライバルだった東大生はもっと正確に文章が読めると信じたかった。』(p298)開発してきたロボットへの愛を感じて、好きなところ。東大生がそんなに文章を読めないとは驚いてしまう。たしかに東大の入試にそういう問題は出ない……と思うけれど……?

 

今私がやっている仕事は、AIが発達しても、なくなりにくいだろうとは思う。

でも、AIの進化に伴って社会が変わっていくのは明らかだと思うし、その中で人はどうやって働いて、生きていくのか、子どもは何を学んでどんな心構えをするべきなのか、ちょっと考えるきっかけになった。

新井さんは「子ども」のこと、次の世代の人間たちのことを強く気にかけていらっしゃる。そんな研究者さんがいらっしゃることが心強く、嬉しいと思う。

読んだ:ちょー東ゥ京3 月の光ワルツ

野梨原花南

 

試し読み→ 【試し読み】ちょー東ゥ京 3|よめる|集英社Webマガジンコバルト

 

ちょー東ゥ京第3巻月の光ワルツ、読みました!!
感想を噛み締めたくて2回読んだ。

以下実況の感想。ネタバレ嵐。いや、トンチキな叫びだからネタバレが伝わらないかもしれない。読んだ方は「ここかなー」ってお楽しみください。
たぶん時系列。

 

ネタバレ感想

・私も商店街の、一階がお店、二階が住宅になっている建物があったら玄関わかんないと思う。
・こたつのある部屋のくだりから座椅子周りの描写でなんとなく部屋がわかる。祖父母の家を思い出すからかな。お店の奥のスペースって入ったことないと思うけど、これまで実物やテレビで見てきた商店街のことを思い出すと「こんな感じかな」って思える。野梨原先生は「短い言葉で的確に、読み手に記憶を参照させる」のが本当にうまいと思う。
・比翼仕立てのコートってなんだ?(調べた)
・年をとると片付けが進まないっていうの、体力のことかもしれないし、年を重ねて深くなった思い入れが片付けを阻むのかもしれない。私も知らないけど。
・ほくろ二つってほくろじゃなくて噛み痕……?
・「最初からそれを質問すればいいんですよ」、魔法使いの先生っぽいなーと思ってにこにこする。言葉に誠実なところ。人に指導をすることにためらいのない態度。
・佐和さんのお電話好き。ある程度高齢になるとああいうお電話増える気がする。
・魔法使いは基本流浪の民ってお師匠様の影響でしょ!
・「この家には死体がある。」のくだりの改行かっこいいなー巧みだなー!
・「花束は冷たくて重かった。薔薇の香りがして美しかった。」
←こういうところ、こういう、簡明な言葉で、鮮やかに、今ここに薔薇の花束がある気持ちになるところ!
・クジ「なんていうのかな……いやびっくりしますよね」ここクジくんの声が聞こえた

・小型脱水機って何……? 調べた。へえこんなのあるんだ! フェリシモのもある
・自分で作文してて思うけど、衣服や髪や食器や建物の細部を描写するのって知識とセンスと語彙が要るし大変なのよね。そこんとこすごいなと思う。
・「駐車場」を初めて見た人による駐車場の描写が新鮮。
・ホラー全然見ない(怖いので)んだけどこういうのってよくあるの? 怖い……
・カンラン「私が命じます」ギャアア!!! 好きかっこいいもっとやって!!!
・踊るコキさん美しい
・あっあっ流浪の話してくれてありがとう!!! 私も大賢者様の記された魔法書読みたいどこ行けばいいの……
・え? え? つまりカンラン先生はスマートの書いた本読んで「私が命じます」魔法を習得したの……? どれだけ熱心なファンで、努力家で、実際実力があるの……(ドン引き)好き……だって誰か、サリタだっけヴァデラッヅだっけ、「『俺様が命じるぜ』で発動する魔法なんてむちゃくちゃだ」みたいなこと言ってなかった?

・「今度ね。今はクジ君の話だし」って言えるのはとても聡明、つい自分の話を始めちゃう、見習いたい
・「ないな」「でも、クジにあるなら、わかりたいと思うよ」とか「考えごとがしたいんなら俺は帰るけど 、どうする? 帰る? 俺と今を楽しむ?」とかこういうことを友人に言える友人でありたい……

スマホに読み上げさせて言葉を調べる、そんな方法があるのか!! 賢いな!!
・すれ違う時会釈してくれるのあまりにも上品
・うーーーんこんだけ素敵に室内を描写したいもんだ! 行って素敵だなと思った場所のことよく見とこう
・しばしば自分が作文していると「脱がせた靴を脱がせたっ放しにする」とかやりがちなんだよね、ちゃんと忘れず回収させないとね
・そうね、6時半から動けたら色々うまく行きそうな気がする、わかる

・「あんたは、今、本当にあんたらしくないよ」と言ってくれるのは本当に友人、本当の友人
・カンラン先生はサリタ・タロットワークが魔王になったことについて考えているんだろうか。カンラン先生も、それをなかったことにしたいと思っているんだろうか。
・グーナー!!!!、!!!

・「先生、恩に着る!」「ほんとですよ」すき
・カンランが胸を張って 、胸に指を立てて言う。「承りました! どなたに何をお伝えすればよろしいですか!?」
ここ動画で見えたー!
・きぎんとうって何だ……? あーこれ前の巻の……?
・「魔王を探す」ああー!!!!!!!!!!!! アーー!ーー!!!!!!!!!!!!! おおおああああ!!!!!!!!!!!!!!
・そっか! いるのか! ここにも!
・どんなんだろう? 何枚羽? サルド出る? スマートは!? 出てもでなくてもいいな、どっちでも絶対にわくわくするから……


小説全般について

小説って、読むとみっちり丸く完成しているように思える。でも、たぶん、小説そのものが丸く完成しているわけではない。小説に書いてあるのは半円か、四分の一くらい。それが丸に見えるとしたら、残りは読み手が勝手に立ち上がらせている像なんだよね。

白い線を始めから終わりまで引くのではなくて、「ここの角取ったらここ一列白になるな」みたいな角に白い石を置いてあるような。

小説はただ装置で、読者それぞれが知る世界が、小説という装置を通じて何かの像を結ぶ。読み手が小説「だけ」を体験できるのは、せいぜい文字が文字として目に映る瞬間だけ。体験として残るのは小説そのものではなく、小説と自分が呼応して結ばれる像の方なんだと思う。

今度は意識して、半円の話を書いてみたい。

読んだ:エースナンバー 雲は湧き、光あふれて

須賀しのぶ

 

須賀さんの本を読んだのはこれが初めてだったと思う。

コバルト文庫ばかり読んでいて、須賀さんのお名前は巻末の広告や本屋さんでよく見かけていた。深い青色の背表紙よね。

 

「雲は湧き、光あふれて」、すごく良かった。

 

これが高校野球もので、朗読劇になり知っている2.5の俳優さんが出ていたらしい*1ことくらいは知っていた。好きな作家さんが絶賛されていて、気になってもいた。*2

 

今調べたんですが、タイトル、「まさに野球!」って感じではないけど、夏の青空に映える勢いある入道雲と眩しい光、甲子園の空だ……と思ってたところ、「栄冠は君に輝く 〜全国高等学校野球大会の歌〜」の歌詞の出だしだった。うわーん。これ何回聴いたかわからない。*3

 

なんでこの曲をそんなに聴いていたのかというと、通っていた高校の野球部が(その一時期だけ)強くて、私のクラスも大会の応援に行った(ほとんど強制だった)。

運動嫌いで野球にも興味のなかった私が、まさかの「楽しかった!」と言って帰宅したので、家の人が驚いて「どんなものなのか」と応援に行ってみたところ、みるみるうちに一家で高校野球にハマってしまった。大会の試合だけでなく練習試合まで見に行くし、地元テレビ局で放映された試合は絶対に録画するし、試合の録画は毎晩居間で流されていた。そこで「栄冠は君に輝く」が流れるから、この曲はよく聴いていたのであった。*4*5

 

で、この本。

 

なんでこんなにうまいんだろうと考えたんだけど、なんでだろうね!?

自分がこの間短編集を書いたので*6、短編集を読むとついどんな構成になっているのか見てしまうんだけど、すごく上手。

  • 1話の中で、話が各主人公の目線で豊かに広がりを見せながら進み、最後にはうまくまとまっていく爽快感がある。
  • 各話が連続していて、大きな物語の流れを自分の考えで補いながら楽しむことができる。
  • 各話の書き出しに心を掴まれる。情景描写が巧みだし、心情がきれいにシンクロしていて、読んでいてドキドキする。
  • 高校球児が熱い。

高校球児が熱いんですよ!!

 

ああ、久し振りにすごく爽快な読書体験だった。私はこのシリーズの他の本を読んでほしい。

*1:すでにイベントは終了していますが、こちら。【紀伊國屋サザンシアター】 トライフルエンターテインメントプロデュース 朗読劇「雲は湧き、光あふれて」※本公演は終了しました | 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店 荒牧慶彦(舞台・映画刀剣乱舞の山姥切国広、舞台あんさんぶるスターズの朔間凛月など)とか出ていらっしゃった……。

*2:何かの賞を取っていなかったっけ、と思って調べたところ、この本ではなくて須賀さんの別のご著書が直木賞候補になった、ということみたい。須賀しのぶ-直木賞候補作家|直木賞のすべて

*3:しかし、歌詞を見ても最後の「きーみにかがーやーくー♪」しか思い出せない。合掌。

*4:運動好きでない私が野球応援が楽しかったのは、球が飛んだら嬉しいし、うまく拾えたら嬉しいし、長く走れたら嬉しい、みたいな感じで、試合の進行と直感的な良し悪しがわかりやすいからかもしれない。あと、選手によって応援歌が決まっており、歌ったり踊ったりするのが楽しかった。点が入ったら得点の歌もあったし、勝ったら校歌を歌うこともできた。あれ、歌うのが好きな人か?

*5:なお私よりも家族の方が高校野球が好きになるのに時間はかからなかった。部員の保護者でもないのに練習試合に来るので、ついに監督と顔見知りになったらしい。

*6:というか、ただ今絶賛入稿作業中である。

読んだ:吉本ばななが友だちの悩みについて答える

吉本ばなな 著

 

読んだ:幸せになるひっそりスピリチュアル作法 - 単品と単品 この本といい、この頃の私はメンタルに迷いがあるというか、「誰か他の人の意見を聞きたい」と思っているらしい。

「分を超えたことをしてはいけない」というのがとても良かった。昔それがうまくできなくて、うまく関係を閉じられなかった知人がいた。あれは何だったんだろうな。恋かな。恋じゃないかもしれないけど、気持ちばかり先走って、冷静な判断ができなくなっていたあたりは、恋と同じだな。

良い友人は大事。

読んだ:幸せになるひっそりスピリチュアル作法

桜井識子 著

 

※これは非科学的な話の含まれる記事。

 

桜井さんのことが気になっていたので読んだ。

私はもともとお稲荷さんが苦手だ。*1

でも一箇所、何の引っかかりもなくお参りできた稲荷社があった。そこは末社の稲荷社だった。連続する鳥居はあったけど怖くなかった。狛狐さんはたくさん並んでいたけれど、顔があんまり狐っぽくなくて、どちらかというと犬みたいだった。*2

何が違うんだろうと気になってググった時に、桜井識子さんのことを知ったんだった。

 

この本自体は自己啓発本ぽかった。

*1:あの立ち並んだ鳥居とか、赤い幟、狛狐さんの要因が大きい気はするけど、とにかく参拝できないことが多い。

*2:書いていて思い出した。

読んだ:全国「一の宮」めぐり 69の神社で、ふるさとの神さまに出会う旅 - 単品と単品

 この記事で書いた「秩父神社の神様レジデンスの前で壊れちゃった鈴守り」はこの神社でいただいたものだった。……あれ? 秩父神社にはこの神社が末社になっていたような……? あれ? じゃああの鈴守りは、神様レジデンスじゃなくて、自分のところに戻った……?

星読み【新装版】ホロスコープなしでわかるあなたの運勢

石井ゆかり 著

 

ホロスコープを使う西洋占星術に興味がある。

一回自分で、ネットのサービスを使って出生時のホロスコープを書いてみた。でも読み方がわからない! どのハウスにどの天体が入っているかの組み合わせを読み解くのが無理。あと天体が多すぎて把握可能な量を超えている。

これは一回書籍を読んだほうがいいな、と思って読んだ。

なおこの本は「ホロスコープなしでわかる」とあるし、ホロスコープは出てこない。

ハウスと天体の意味が書いてある。私にはそれがわかりやすくて参考になった。

あとよく聞く「水星逆行」がちょっとわかった。相対速度がマイナスみたいな感じっぽい(おぼろげな理解)。

 

でも自分のホロスコープを読むなら、プロに読んでもらうのがいいだろうなあ。

読んだ:香川あるある

三田優実 著

 

香川と推しの区別が付かなくて、つい……。

  • 西讃と東讃では別の文化(丸亀あたりと高松あたり)がある
  • 香川は日本一面積が小さい県
  • 本当にうどんを食べる機会が多い うどんが安い
  • 丸亀城の石垣はやっぱり有名
  • 雨が降らないので溜池が多いというのは本当

イラストがかわいかったです。

読んだ:菊と刀

ベネディクト 著

角田安正 訳

 

ずっと前から知っていたけれど、やっと読んだ……!

今読めてよかった本。

 

どんな文化で育つかを人は選べないのだなとしみじみ思うなど。なぜそんな文化を身に付けているのかと、個人に問うことには意味がないのだなと思いました。その人のせいではない。

ではどうしたらいいのかは全然わからないけれど、個人の問題ではないことがわかっただけよかったなと思う。でも闘うと思うけど。

読んだ:校閲ガール トルネード

宮木 あや子 著

 

初めてのアルバイトが「校正・校閲」だったので、「校閲ガール」ってドラマは気になっていた。見なかったんだけど。

いやびっくりしたんだけど、宮木あや子さんって『花宵道中』とか『官能と少女』とか書いてるお方ですよね……? 全然雰囲気が違う……ものすごくちゃんと現代ものだ……なんでこんなに現代のこの年代の人間の生態に通じてらっしゃるの……?

雰囲気は違うけど、女性の心情・行動の「わかる感」は変わらずで恐れ入る。

 

そんなわけで校閲のシーンも心安く読みました。

「やりたい仕事と向いている仕事が違う」、それな~という気持ち。

読んだ:名短篇、ここにあり

北村 薫, 宮部 みゆき 編

 

短編集を書いていて、そもそも短編ってなんだ、と思って読んだ。

オチもなにもないけどちゃんと作品だなと思って読めるものもあって、参考になりました。

以下は収録作品の一部。

 

冷たい仕事(黒井千次

霜取りがわからず。でも男二人で夜中美しく大きい氷を剥がす、って雰囲気が好き。


隠し芸の男(城山三郎

これは切ない話。終身雇用制度ってしんどいところもあるなと思いつつ。


少女架刑(吉村昭

すごく美しい描写だった。生きている。解剖のシーンが読めなくてけっこう飛ばしてしまった。

 

少年探偵(戸板康二

短編で、ちょっと謎解きがあって、でもエッセイなので別にオチがなくてもいい感じがする。利発な少年は良い。

 

誤訳(松本清張

これはすごくうまいな!? と思いました。松本さんの書く話初めて読んだんじゃなかろうか。


鬼(円地文子

女性の書き方がすごくお上手と思いました。向田邦子さんの『隣りの女』を読んだ時みたい。お話自体も好きな組み立て。